金びょうぶに花、式次第に司会者。まるで結婚式の披露宴のように仕立てられた中で、緊張した表情で並んだのは着飾った新郎新婦ではなく、スーツ姿の2人の企業経営者の男性。結婚式に見立て福井市で行われた「M&A」による事業承継の調印式の一幕です。 今、全国の企業の中で大きな課題となりつつある「事業承継」。今回、将来をともにすると誓ったのは業種の全く異なる2つの企業でした。そこには、100年続いた会社を終わりにしたくないという経営者の強い思いがありました。(福井放送局記者 篠田彩) 事業譲渡を決断した福井市にある創業100年の菓子メーカー「恵比須堂」。 従業員5人、年商3000万円と規模は大きくはないものの、「羽二重餅」や「けんけら」など福井を代表する銘菓を作り続けてきました。 社長の中道直さん(68)は、28歳の時に織物会社から転職し、「恵比須堂」に入社。 営業を担当していましたが、33歳の若さで社