祈るような思いでうつむいていると、医者が言った。 「心音が聞こえませんね」 恐れていたセリフがまた耳に響いた。3度目の流産を告げられたのだ。 東京で産んだ長男は元気なのに、自然豊かなこの町に移り住んだ後、流産を繰り返した。 3度とも妊娠初期だった。「不育症」ではとも考えたが、「理由はわからない」と医者は言った。 一家3人で東京を離れたのは、2011年の東日本大震災の直後だった。憧れていた自然の中で暮らそうと、知人のいる岡山の吉備中央町に引っ越した。人の優しさに触れ、ここで生きていこうと決めた。こどもは3人ほしいと、大きな家も建てた。 太陽光パネルで電気をまかない、薪ストーブを置き、トイレもコンポストにした。手をかけて循環型の暮らしを実践する。 でも、大家族で暮らす夢は、流産でかなわなくなった。 私がいけなかったのか。ずっと自分を責めてきた。涙があふれる日々を重ね、38歳になった。 この間、