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ブックマーク / www.econ.kyoto-u.ac.jp (4)

  • No.408 COP28で決まったこと、日本で報道されないこと - 京都大学大学院 経済学研究科 再生可能エネルギー経済学講座

    2024年1月25日 京都大学大学院経済学研究科 特任教授・安田 陽 2023年12月13日に国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)が閉幕し、それから年を越して約1ヶ月経ちました。日ではその後、自然災害や航空機事故などの事件が相次いだため、COP28に関する報道はすっかり冷め、多くの国民にも忘れ去られてしまったような気がします。報告では、その後1ヶ月経った今、むしろ熱狂が冷め冷静に分析するために、COP28を振り返りたいと思います。 COP28合意事項の背景 COP28では、パリ協定の実施状況を検討し長期目標の達成に向けた全体としての進捗を評価する仕組みであるグローバル・ストックテイク(GST)について、下記のような合意文書が公表されました (筆者仮訳。下線部は筆者)。 この2030年までに再生可能エネルギーの容量を世界全体で3倍という情報は、COP28の開催中から日

  • No.309 ナラティブ(物語的)な言説にはご注意を - 京都大学大学院 経済学研究科 再生可能エネルギー経済学講座

    . 稿は上記の文章の引用から始めることとします。この論考は2021年9月に欧州で電力市場価格がじわじわと高騰し始め、メディアでさまざまな憶測が流れた時期に書かれたものです。日語に翻訳されていないため、日ではほとんど知られていないかもしれません。 この時期、例えば海外メディアでも「風が止んだ後に欧州のエネルギー価格が最高記録に達した」、「欧州の再生可能エネルギーがエネルギー危機をもたらした」などのセンセーショナルな見出しの記事が見られました(引用符内の日語は筆者翻訳)。 このような主張は日語メディアにも徐々に伝わり、例えば「『脱炭素先進国』のスペインがエネルギー危機に見舞われている。同国の風力発電の発電量が前年同月に比べ2割減るなど欧州の風が弱まったことが天然ガス価格高騰の発端の一つにもなった」、「風力が電源構成の約2割を占めるスペインでは9月の風力発電量が前年同月比20%減。風力

  • No.220 2050年カーボンニュートラル実現のための優先順位 - 京都大学大学院 経済学研究科 再生可能エネルギー経済学講座

    2020年12月10日 京都大学経済学部特任教授 安田 陽 2020年10月26日の菅首相の「2050年カーボンニュートラル」宣言により、日中でもにわかに脱炭素の議論が盛り上がっています。カーボンニュートラル(二酸化炭素排出量と吸収量が同じ)やゼロカーボン(二酸化炭素排出量がゼロ)の議論が盛り上がること自体は歓迎すべきですが、その議論の中にグリーンウォッシング(環境に配慮しているように装いごまかすこと)的思惑が紛れ込んでいないか、注視する必要があります。とりわけ日の政策は、国際議論や最新技術動向が十分に参照されないまま、科学的根拠や定量的な政策評価に基づかずに決められてしまうことがこれまで多かったため、カーボンニュートラルの名目で補助金目当ての便乗ビジネスが横行しないか、入念なチェックが必要です。 カーボンニュートラルやゼロカーボンをどのように達成するのか、一つの道しるべとして、国際再

  • No.143 安易な1ビット思考が日本を蝕む - 京都大学大学院 経済学研究科 再生可能エネルギー経済学講座

    2019年9月5日 京都大学大学院経済学研究科 特任教授 安田 陽 記号論理学の世界 今回はいつも普段から言ってることをちょっと趣向を変えて書くことにします。はじめに数学の話をしましょう。記号論理学や数理論理学の分野では、存在量化子 existential quantifier という記号があり、∃と表記されます(アルファベットのEを反転したものです)。また、全称量化子 universal quantifier と呼ばれる記号もあり、これは∀と表記されます(アルファベットのAを逆さにしたものです)。 前者は「ある?」もしくは「少なくとも一つ存在する」ということを表す記号であり、∃xは「ある(少なくとも一つの)xについて」ということを意味します。また後者は「すべての」を表す記号であり、∀xは「すべてのxについて」という意味を表します。 ここで、任意の対象xに対して任意の属性Pが与えられた際に

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