そもそも、結婚に左右される“自由”とは何だろう? ありていにいえば、「金」と「時間」の使い方、ということになるだろうか。もう少し包括的に「人生のリソース」と言い直してもいい。曰く「憧れのバイクを買いたいのに嫁の許可が下りない」。曰く「いまみたいに好きな服を買ったり、美味しいものを食べ歩いたりできなくなる」。なるほど、そういうことはあるかもしれない。ぼく自身、結婚して間もない頃は不自由に感じることがないでもなかった。ひとつは本を読む時間が減ったこと、もうひとつはインターネットに漂う時間が減ったこと。けれどもすぐに、それらを不自由だとは感じなくなってしまった。 なぜなら、ぼくは代わりに新しい自由を手に入れたからだ。 独身の頃、有意義な「金」と「時間」の使い道は限られていた。本、インターネット、映画、音楽、カメラ…そういった趣味に費やすことが、ぼくにはほとんど唯一の選択肢だった。だから、限りある