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ブックマーク / blog.goo.ne.jp/keisai-dousureba (75)

  • 増税で信認は守れない - 経済を良くするって、どうすれば

    消費増税法案があす成立することになったようだ。日経は、小竹洋之さんが「日の信認・守れる政治を」という論説記事を書いている。これを材料に、日の財政運営の何が拙いのかを浮き彫りにしてみたい。 まず、小竹さんは、財政再建に対する懸念が長期金利を上げたとするが、人も「世界的な株高の影響もあるが」としているように、増税法案の行方とは、ほとんど関係がなく、欧米のリスクが和らいだせいであろう。根拠があやふやなものを引くべきではない。もしかすれば、今日の日の長期金利が、増税決定を受けて急低下するかもしれんがね。要は、国際的な要因に動かされる長期金利を頼りに、財政運営はできないということだ。 また、クルーグマンが「さっさと」のp.182で書いているように、長期金利は、景気回復の希望がしぼむことでも低下する。つまり、金利が急低下したとしたら、増税決定によって、日経済の低迷が長引くという見通しが立った

    増税で信認は守れない - 経済を良くするって、どうすれば
  • 経済運営の基礎講座(1) - 経済を良くするって、どうすれば

    夏休みの時期でもあるし、基礎講座も良いかなと思う。なぜか書いて置きたくなったんだよね。このコラムは、気の向くままに執筆しているせいか、思いがけないような転がり方をすることがある。そういう時は、ちょっと不思議な気分になるよ。 ……… 前年との増減を考える 財政運営を考える上で、前年より増やすか減らすかというのが、一つのポイントになる。当たり前と言えば、当たり前のことなのだが、日の有識者のほとんどは、これが分かっていないので、当に始末に困る。例えば、20兆円の赤字財政を、10兆円の赤字財政する場合、これはデフレ財政なのだが、赤字財政に変わりないことをもって、景気を刺激していると勘違いしていたりする。 また、前年との比較は、補正予算後の大きさと、当年の予算の差を見なければいけない。例えば、当初予算が90兆円で、プラス10兆円の補正をした次の年度に、当初予算が90兆円ならば、10兆円のデフレ予

    経済運営の基礎講座(1) - 経済を良くするって、どうすれば
  • 3%超の成長に向けて - 経済を良くするって、どうすれば

    昨日、6月の家計調査が公表されて、4-6月期GDPに向けての統計が出揃った。結果は、季節調整済の実質指数で-1.3。6月は台風など天候が不順で、先に公表された販売統計が芳しくなかったので、予想はしていたものの、今一つの結果だった。それでも、4-6月期の平均は、1-3月期より0.3%増を確保して踏みとどまった。 この結果から、4-6月期GDPは3%を割るかもしれないと思っていたところ、さっそく夕刻には、ニッセイ研の斉藤太郎さんが年率3.1%という予想を出してくれた。今度の一次QEは、在庫や季節調整が読みがたいところだが、3%超成長の期待は、十分持てる状況にあるとは言えるだろう。 今回の家計調査の結果は、既に報じられているように、エコカー補助金による押し上げ効果が大きい。これは前月までを上回る大きさだった。もう一つ、設備修繕・維持の牽引もある。これは太陽光パネルの設置などによるものであり、買取

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  • 7/30の日経 - 経済を良くするって、どうすれば

    ものごとが20年も続くと、人は、それが伝統的な文化だと勘違いするようになる。日型雇用システムは、高度成長期の20年間にできあがったもので、戦前は、日の労働者の流動性の激しさが嘆かれたものだった。「日型」という名前がついていると、日文化の所産のように思う人もいたりするが、誤解だ。労働経済学者には常識の話ではある。 日型雇用システムの年功賃金は、成長する経済では有利なものである。成長するなら、人的資源をできるだけ留めようとするのは合理的な行動で、高度成長期の経営者が恩情にあふれていたわけではない。逆に、現在のように成長しない経済では、非正規のようなスポット買いで調節することが必要になる。 結局、当に問題を解決しようとするなら、成長させるしかない。成長しないことを前提に、雇用システムを変え、社会保障をスリム化することを考えがちだが、前提を受け入れなければいけないということもあるまい。

    7/30の日経 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 不安から現実を認識する道 - 経済を良くするって、どうすれば

    今日の「けいざい読解」は小竹洋之さんだ。むろん、小竹さんの論説も、日経の社論から出るものではないが、社論に「不安」を持っているように感じるんだね。正しいとは思いつつも、点検を忘れない態度は大切だと思う。当は、「不安」の正体を明確に認識し、社論を少し変えてほしいと思うが、望み過ぎというものかな。 「読解」の内容は、各調査機関の2014年度の成長予測が出始めたのをとらえ、成長の戦略が必要とするものだ。予測は、「消費税が日を救う」の熊谷亮丸さんの大和総研を除けば、ゼロ成長からマイナスという惨憺たる結果である。普通に考えれば、こうした結果が予想される経済運営は、やってはいけないだろう。おそらく、後世の人には、なぜ、悲惨になると分かっていながら踏み切ってしまったのか、説明ができないと思う。 後世の人に、財政破綻の「恐怖」があったことを語ったところで、「景気に合わせて1~2%にしとけば、良かったで

    不安から現実を認識する道 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 相続税のボテンシャル - 経済を良くするって、どうすれば

    先日、国債を相続税で回収する戦術を述べた。むろん、相続税だけで財政赤字を解決できるものではないが、どのくらいのポテンシャルがあるかを大まかに試算してみた。おおよそ、消費税で言えば2%強、5兆円以上の増収の余地はあると考える。大きさがつかめれば、若い人たちにとってどんな選択肢があるか、示すことにもなると思う。 高齢者が家計貯蓄の大半を持っていることは、全国消費実態調査(平成21年)で分かる。家計全体の持つ「貯蓄-負債」(純貯蓄)の総額は466兆円であり、これは、家計資産編(総資産)の世帯数分布と貯蓄負債高を掛け合わせることで得られる。そのうち、世帯主年齢60~69歳が43%、70歳以上が38%を占めており、合わせれば8割にもなる。 消費税を上げるということは、現役世代を含む全体から税を徴収し、高齢世代が政府に貸している借金を返していく行為とみなせる。他方、相続税の増税は、政府に貸していた借金

    相続税のボテンシャル - 経済を良くするって、どうすれば
  • 金融緩和も財政出動も - 経済を良くするって、どうすれば

    さっそく、P・クルーグマンの「さっさと不況を終わらせろ」を入手し、訳者解説を読んだ。体はもちろんだが、山形浩生さんの解説も楽しみでね。日頃、自分とは違う考えの論者の主張も読むことを心がけているが、やっぱり、自分と同じ立場の論考を読む方がうれしい。各紙の財政再建至上主義に囲まれて、げんなりしているだけにね。 山形さんは、クルーグマンも考えを変えてきたと指摘するが、筆者も同感だ。「金融緩和でインフレ期待を高めるべし」と言っていたというくだりには、懐かしさを覚えた。金融緩和で期待を作るのは容易ではないから、当時は、何を言っているのかと思ったものだ。そのクルーグマンも、現実を踏まえて財政重視に修正してきたのは立派なものである。日では、十年一日の「理論家」が多いから、特にそう思う。 ちなみに、コラムは、財政運営についての論説が中心だが、別に金融緩和を軽視しているわけではない。それは当然の前提と

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  • 文明の代価と小さな政府 - 経済を良くするって、どうすれば

    先日、ジェフリー・サックスの「世界を救う処方箋」を読んだ。内容は、リベラル派から見たアメリカである。若い人にはアメリカ政治経済を知るための良書だが、筆者にとっては、見知ったアメリカである。ただ、そこから受けた印象は、かつて知った時とは、随分、違ったように思えた。小さな政府の「病」は、いまや日の問題でもあるのだと。 日政治経済の主流の思想は「近代化」であり、その推進役は官庁であった。産業技術を取り入れ、設備投資を進めて資を蓄積する。輸出を増やすとともに、貿易や資の自由化も受け入れていく。また、社会資を建設し、高等教育や社会保障を徐々に整える。そうした営みである。欧米にあるものを、日なりに消化して実現することとも言える。 一般的には、欧米へのキャッチアップは、高度成長期までに達成されたとされるが、社会資は、1980年代でも不十分と思われていたし、社会保障は、最後の大型制度の導

    文明の代価と小さな政府 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 7/12の日経 - 経済を良くするって、どうすれば

    昨日のダイヤモンドO.L.の森田京平さんの論考は的確だと思う。足元は好調で、6月の消費が伸び悩んでも、在庫が補うのではないか。設備投資もまだ償却の範囲だから、勢いは保てるだろう。2013年は、むしろ抑え目の経済運営にしておいて、政策需要は、消費税ショックのある2014年へ持って行きたい。 2013年は、消費の基礎体力を養うのは良いが、政策需要を作るのは反対だ。こういう「やってはいけない」ことを、まさにするのが日なんだな。仕分けで、長く積み上げてきた外交の「資産」を壊すようなまねをする一方、補正で派手にバラマキをやろうとしたり。まあ、ポピュリズムとロビイングの国になったんだろうね、日も。 (今日の日経) ヤマダがベストを買収。鈍る外需、成長投資で開拓。日再生戦略は具体策欠く。次世代電力計は国際規格でコスト半減。長期金利9年ぶり0.785%。外務省の仕分け効果わずか。スペイン付加価値税2

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  • 日本に残った最後の道しるべ(5) - 経済を良くするって、どうすれば

    連載も長くなった。今日は、消費増税のソフトランディングに必要な第二のポイント、駆け込み需要とその反動の軽減について述べ、次回でシリーズを閉じることにしたい。 さて、財政当局の公式的な見解は、1997年の景気後退において、消費税は主因でないとするものだが、その基になっているのは、6/28のコラムでも紹介した「消費税増税のマクロ経済に与える影響について」という報告書である。そこから垣間見えるのは、駆け込みと反動に関する警告のネグレクトだ。 経済の動きに対する解釈は多様だから、消費増税の景気への影響を軽いとするのも一つの見識ではある。しかし、そうした論者の一人である上智大の中里先生でさえ、駆け込みと反動の問題性は報告書で指摘しているのである。しかるに、今のところの財政当局の動きを見れば、それは無視されているとしか言いようがない。手前勝手な結論に酔い、備えを怠っているのではないか。 駆け込みを軽

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  • 日本に残った最後の道しるべ(4) - 経済を良くするって、どうすれば

    三つ目は、年金給付の削減である。これは、過去の物価低下時に年金給付を引き下げなかったために、もらい過ぎになっている状態を是正するものである。この「特例水準」の状態は、今年度から3年かけて解消する予定でるから、消費増税の実施される2014年に重なることになる。 今年度の場合、年金給付の削減額は、毎年の物価スライドの引き下げ分と合わせ、概算で7000億円にもなる。かなりの大きさである。「世代間の公平」の見地から実施されるらしいから、若人は喜ぶのかもしれないが、公平に拘って、デフレ脱却を後回しにする政策判断をしたことは、認識しておいてほしい。 現下の景気回復は、消費を中心にしたものである。エコカー補助金や復興需要の効果が指摘されるが、これに加えて、第一生命の熊野英生さんなどは、高齢者消費の堅調さも挙げる。これは、団塊世代が65歳を迎え、年金をフルにもらうようになったことが背景にある。日の財政当

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  • 日本に残った最後の道しるべ(3) - 経済を良くするって、どうすれば

    次は、復興増税である。一つは、所得税の上乗せであり、2013年1月から年間2900億円程の増税が25年間に渡り行われる。もう一つは、住民税の均等割りで、2014年6月から年間600億円程の増税が10年間ある。合わせて年間3500億円の負担増になるのだが、これが2014年4月からの消費増税と重なることになる。 とりあえず、これらの先送りを図りたい。所得税を2年間先送りし、2015年1月からにするには5800億円の財源が必要だ。また、住民税を1年間先送りし、2015年6月からにするには600億円いる。合計6400億円の財源がいる計算だ。財源が必要なのは、単に増税期間を後ろにスライドさせるのではなく、期間を短縮することで開始時期を遅らせるためだ。 この財源だが、先頃、明らかになった2011年度決算の剰余金を使えば良い。公式ベースでも1.2兆円あるので十分に賄える。このままでは、剰余金は、次の補正

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  • 日本に残った最後の道しるべ(2) - 経済を良くするって、どうすれば

    悪手としか言いようのない一気の消費増税だが、なんとかソフトランディングさせるためには、二つのポイントがある。一つは、消費増税以外の負荷を経済にかけないこと、もう一つは、できるだけ駆け込み需要とその反動を軽くすることである。当たり前と言えば、当たり前のことだが、日の財政当局は、こうした基的なことがなっていない。 1997年のハシモトデフレの失敗、これを財政当局は失敗と認めないわけだが、消費増税に加え、公共事業の削減、定率減税の廃止、社会保険料の引上げと、軒並み経済に負荷をかけたことだった。「消費増税は景気後退の主因ではない」と平然と言いおおせるのは、いろいろと余計なことをやっているからである。 今回も、前回の反省がないゆえに、消費増税の上げ幅を1.5倍にした上、復興事業の剥落、復興増税の実施、年金給付の削減と、まったく同じことをやろうとしている。それも、前回より成長率が低い見通しにあるに

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  • 偶然の一致を見せた決算 - 経済を良くするって、どうすれば

    今日は、ちょっと予定を変更して、7/2に公表された国の財政の「平成23年度決算概要」の分析をお届けする。昨日の日経の記事は、今一つ分かり難かったこともあるのでね。「概要」の作りは、いかにも日の財政当局らしいもので、ウォッチャーとしても、なかなか楽しませてもらったよ。 さて、「概要」は、予算からのブレを示すもので、思いがけない収入と、使わずに残った支出からなる。日経は、当局の報道発表に従い、剰余金は1.23兆円と報じ、復興費の剰余金0.75兆円と合わせて、2兆円の補正予算が可能になったとしている。まあ、それは、そのとおりなのだが、一面を表すに過ぎない。 まず、思いがけない収入としては、税収の上ブレ分8000億円と、日銀納付金などの税外収入2500億円があり、合わせて1兆500億円である。他方、使わずに残った支出として、金利が安くて済んだことによる国債費の不要が6400億円、災害などの備えと

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  • 日本に残った最後の道しるべ(1) - 経済を良くするって、どうすれば

    たぶん、日の経済戦略というのは、財政のために消費税を上げ、成長のために法人税を下げるというものだろう。これを資金調達の観点で言うと、家計から政府へと資金を移す一方、企業から政府への資金は少なくするということになる。こうした戦略を描いているエリートは、日の全体状況を当に分かっているのだろうか。 GDP統計(2010年度)で、金融資産・負債の変動を見てみると、確かに、一般政府の資金過不足は、マイナス33兆円もの大赤字である。ところが、家計の黒字は7兆円程にしか過ぎない。最大の資金の出し手は、非金融の法人企業であり、プラス31兆円となっている。すなわち、日のエリートは、大して資金のない家計部門から吸い上げ、ジャブジャブに余っている企業部門に更に資金を注ぎ込むという戦略に賭けようとしているのである。 消費税3%アップは約7.5兆円とされる。同じGDP統計で、家計の状況を見ると、可処分所得は

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  • 政治における不幸の理由 - 経済を良くするって、どうすれば

    民主党は、マニフェストの破綻を突かれ、分裂に至ってしまうようだ。今の支持率では、次の総選挙では壊滅的敗北さえ喫しかねないともされる。3年前の総選挙での圧勝とは、天と地ほどの差だ。なぜ、こうなったのか。「歴史のIf」の類ではあるが、別の道を歩むこともできたように思えるのである。 財源の捻出ができずにマニフェストが破綻することは、政権交代ブームの時から分かり切っていたことだった。市井の人々はともかく、経済や財政に多少なりとも見識があるなら、実現を信用するはずがない。それに期待感を表明していたとすれば、不誠実をなじられても致し方ないだろう。 政治を志す若人に申し述べておきたいのは、日は、既に「小さい政府」の国であるということだ。社会保障以外の公共部門のGDP比は、先進国で最も低いのであるから、そこからムダを省いて、兆円単位の財源を捻出しようとするのには無理がある。政治の役割というと、役所を責め

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  • ドイツでの消費増税の教訓 - 経済を良くするって、どうすれば

    昨日は忙しかったので、一言コメントにとどめたが、「ドイツは消費税を上げても平気だった」という日経の記事は余りに安易なので、改めて書くことにする。おそらく、これは日興さんの出した「消費増税でゼロ成長に墜落する」というレポートとバランスを取りために、財政当局の御説明ペーパーを引いたものと思われる。 このペーパーの元ネタは、昨年5/30の「社会保障改革に関する集中検討会議」の資料、「消費税増税のマクロ経済に与える影響について」という報告書である。この報告書は、お役所が御都合に合わせ、まげて書くにも程があるといったシロモノだった。そのことは、出された当時に書いたコラムの6/2「財政当局の騙しと狂信」、6/11「消費税を上げるということ」あたりを参考にしてもらいたい。 さて、ドイツの場合だが、2007年1月に3%の消費増税を行っても景気に大きな影響がなかったことにはいくつか理由がある。まず2006

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  • 増税とバラマキの戦略 - 経済を良くするって、どうすれば

    やはり補正予算が来たか。日の財政当局は、経済運営は無能でも、政治的な立ち回りは憎らしいほど巧みである。一気の増税を和らげるためにバラマキをするくらいなら、緩やかな引き上げにしておけば良さそうなものだが、そうした経済的に理に適った運営が顧みられることはない。 2012年度予算の焦点の一つは、年金財源を賄う交付国債だった。手形のようなものだから、批判が集中するのも当然だが、それは戦略の内であったろう。ここに議論を集中させ、歳入庁などの面倒な問題に拡散しないようにすると同時に、社会保障に消費増税が欠かせないことをアピールする狙いがあったのだろう。 今回は、税と社会保障の一体改革と銘打ったが、増税だけが合意され、社会保障は先送りになるのは、予想されたことだった。それは、財政当局にとって理想的だが、最低限、社会保障にリンクさせるための仕掛けも欠かせない。そして、増税が合意されたことで、めでたく、異

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  • 政治史における経済政策 - 経済を良くするって、どうすれば

    中央公論7月号の「先生、このまま逃げる気ですか」という、政治史の御厨貴先生と若手研究者の佐藤信さんの対談がおもしろかったね。題材は「世代間の不公平」なのだが、今の政治史の若手が何を感じているかだけでなく、時代の雰囲気を切り取ったような、そんな印象を受けた。 政治史の難しさは、何が正しい政策なのかが判然としないところにある。そのうち、統治や外交であれば、民主化や平和といった軸があるから、まだ良い。それでも評価は別れ、例えば、坂野潤治先生の近著「日現代史」は、普通選挙制に冷淡だった原敬に手厳しいが、北岡伸一先生のように現実主義を高く評価する方もいる。原敬は、統治能力ある政党を育て、維新の軍事政権から平和裏に移行し、米国と軍備管理条約を結んだのだから、今の中国に原敬のような政治家がいれば、ノーベル平和賞ものかもしれない。 更に言えば、平和でさえ、戦争を避けることが常に「正しい」とされるわけでも

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  • 決められる政治の意味論 - 経済を良くするって、どうすれば

    各紙は、消費税でも、再稼動でも、決断したこと自体を評価しているようだが、当に、決めたと言えるのかね。筆者には、既定路線で押し切っただけにしか見えない。厳しいように聞こえようが、絶対反対のような非現実的な「わら人形」を打ち負かしても、大した功績とは言えまい。 消費税について言えば、成長との整合性を取る方法を深めることが正しい対し方であり、より良い戦略へ止揚することになったはずだが、実際は、1997年以上に強引な引き上げ方法を決めただけであった。あとは、それに耐えられるほど景気が強いことを祈るのみである。運に頼るとなると、もはや戦略の名には値しない。 原子力について言えば、原発の新設には経済合理性が失われたのだから、撤退という戦略を政治決断した上で、その道程の戦術だけを検討させるべきだった。今のままでは、福島第一の事故などなかったように、国民の忘却につれ、元へと戻るだけであろう。電源車くらい

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