江戸時代、一般の洗濯の汚れ落としには、無患子(むくろじ)の皮、さいかちの実、灰汁、石灰、米のとぎ汁などがよく使われました。しゃぼん(石鹸)は安土桃山時代に南蛮(ポルトガル)より伝わったとされていますが、しゃぼんを使用できたのは極めて限られた人々だけで、主として医薬用に用いられました。石鹸が家庭に普及しはじめたのは明治時代になってからのことです。新政府が京都で石鹸を造ったほか、堤磯右衛門が横浜に石鹸工場を開き、明治6年には洗濯石鹸を1個10銭で販売しました。 洗濯板が登場するのも明治中期頃からです。江戸時代にはたらいを使った手もみ洗いが広く普及しており、浮世絵などにも井戸端でしゃがんで洗濯をする光景がよく描かれています。また、着物の縫い目をほどく洗い張りや洗濯を専業とする商売もありました。 ちなみに江戸時代には「しゃぼん玉」が多くの人々に楽しまれていましたが、当時のしゃぼん玉は「無患子、芋が