理系から文系への転向は容易だが、文系から理系への転向は難しいという話は、昔からある。最近は大学改革をめぐり、「文系不要論」まで飛び出して論争になった。それほど、理系の専門的な科学知識はとっつきにくいのだとしても、文系はいささか、科学的な知識に基づかない発言や主張に左右されすぎる傾向はないだろうか。長年、大阪府立大学で船舶工学や海洋工学を教えてきた池田良穂さんに、「文系」が陥りやすい「誤解」を読み解き、資源、エネルギー、環境の問題にどう向き合えばいいのか、深読みしてもらった。 「燃料電池は環境に良い」で欠落したフレーズ 文系の大学で教えていると、科学的な知識に基づかない発言や主張に学生が引きずられる傾向があることが分かる。そうした発言や主張の発信源は、マスメディアや商品を売るためのセールスマン・トークの中に散見される。 例えば、「電気自動車はCO2(二酸化炭素)や有害排気ガスを出さない」とか