ふと気づいたら、NRI金融市場パネル7月の議事概要が公開されていた。中でもアベノミクスの評価に関して植田和男氏の「総括」要旨がひとつの視点としてなかなかおもしろかったので、一部を引用させていただく。 植田氏は日銀のQQEについて、理論的には「効果には疑問の余地があった」としつつも、「外国為替市場と株式市場に大きな影響を与え、それが実体経済にもある程度の効果を及ぼしている」と見る。そして、かのKrugman(1998)における主張の眼目は、日銀による高めのインフレ目標へのコミットメントと、政府による財政政策との協調にあると指摘した上で、こう論じている。 日本銀行による「量的・質的金融緩和」は、Krugmanのこうした提案に近い面がある。例えば、インフレ目標を従来の1%から2%に引き上げることでコミットメントを強めるとともに、長期の国債も大量に買入れることにした。同時に、政府は財政政策だけでな