呼吸器や痰(たん)の吸い出しといった医療的ケアの必要な患者が、医療と介護のすき間に落ちている。国が入院日数の短縮をすすめる中、病院から出て家でケアを受ける患者が増える一方、従来の介護施設を使おうとしても、医療的ケアが必要なことを理由に、受け入れを断られている。解決の手だてとして06年度に「療養通所介護」が導入された。だが、採算がとれないために広まらない。現状を、岡山市の施設に探った。 ◆低報酬広まらぬ通所施設 2月上旬、岡山市中区の療養通所介護施設「岡山デイナーシング看護協会」。看護師が、ベッドに寝ている向山斌介(よし・ゆき)さん(69)に声をかけた。「(痰を)吸引しましょう」 向山さんは、神経難病の「オリーブ橋(きょう)小脳萎縮(い・しゅく)症」の患者だ。普段は、自宅で妻の智加枝さん(67)と暮らす。週のうち3回は訪問看護を受け、2回は「デイナーシング」に通っている。 病気のせい