岐阜市黒野南の歯科医院「渕野歯科」で院長の渕野太賀臣(たかお)さん(当時50歳)を刺殺したとして殺人罪などに問われた同市折立、無職、長浜伸幸被告(59)は11日、岐阜地裁(鈴木芳胤裁判長)で開かれた裁判員裁判の初公判で「殺すつもりで刺したのではない」と殺意を否認した。弁護側は傷害致死罪の適用を主張した。 検察側は冒頭陳述で、渕野歯科で治療を受けていた長浜被告が「歯を無断で削られた」と渕野さんに金銭を要求し、渕野さんが「事前に十分説明した」として応じなかったことから殺害を決意したと指摘。渕野さんの致命傷が下顎(あご)から頸椎(けいつい)まで達していたことや長浜被告が事件直後に駆け付けた警察官に殺意を認める話をしていたことから強い殺意があったとした。 弁護側は長浜被告が渕野さんと取っ組み合いになったと指摘したうえで、「用意していた2本の包丁のうち1本を渕野さんから顔に突きつけられ、もう1本の包