タグ

ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (87)

  • 『ナチスドイツと障害者「安楽死」計画』はスゴ本

    「役に立たない人を安楽死させよう」という世の中になるなら、それはどんなプロセスを経るか? これが、嫌と言うほど書いてある。ヒトラーの秘密命令書から始まったT4作戦[Wikipedia]を中心に、医師が「生きるに値しない」と選別・抹殺していった歴史が緻密に書かれている。 対象となった人は多岐に渡る。うつ病、知的障害、小人症、てんかんに始まり、性的錯誤、アル中、反社会的行動も含まれていた。こうした人びとが何万人も、ガス室に送られ、効率的に殺されていった。ユダヤ人の迫害にばかり目が行っていて、書を読むまで、ほとんど知らなかった自分を恥じる。書は、不治の精神病者はガス室へ『夜と霧の隅で』で教えていただいた(hachiro86さん、ありがとうございます)。 問題は、ナチスに限らないところ。優生学をナチスに押し付け断罪することで、「消滅した」という図式にならない。社会システム化された「安楽死」(と

    『ナチスドイツと障害者「安楽死」計画』はスゴ本
    REV
    REV 2016/10/20
    「タバコとアルコールの追放運動を大々的に行い、飲酒運転には高額な罰金を課した」この事件は、障害者を社会で支えるための消費税増税賛成の際でなく、煙草・酒の制限に反対にする際に援用される印象
  • 不治の精神病者はガス室へ『夜と霧の隅で』

    きっかけはこのツイート。 人工透析のあり方を叩いていた人は、北杜夫の「夜と霧の隅で」も読んだことはないだろうな。ナチスが一番最初に大量殺戮したのは、ポーランド人でもユダヤ人でもなく、偉大なるドイツ帝国建設に役立たないとされた精神病者や障碍者だった事実。 — 半歩前進 (@hanpozenshin) 2016年9月27日 北杜夫といえば『どくとるマンボウ』や『楡家の人びと』しか読んでいなかったが、こんな重い話を書いていたなんて。しかも、これで芥川賞を受賞していたなんて。hanpozenshinさん、ありがとうございます。 そして、読んだら頭を殴られた。これは、治る見込みのない精神病患者を「無益な人間」として安楽死文では安死術)させる話。知能に障碍を持つ子どもが次々とバスに乗せられる冒頭は、映画そのもの。どこか空想上のディストピアではなく、第二次大戦時のドイツだ。ナチスは「遺伝病子孫防止法

    不治の精神病者はガス室へ『夜と霧の隅で』
    REV
    REV 2016/09/30
    日本の場合: 彼らが公務員を攻撃したとき、私は声をあげた。私は共産主義者ではなかったから。「やっちまえ!」 彼らがオタクを攻撃したとき、私は声をあげた。私はオタクではなかったから。「獣は檻に!」
  • ファンタジーだった『聲の形』

    映画観てきた。これは素晴らしいファンタジーだ。 『聲の形』は、『シン・ゴジラ』『君の名は。』よりも、荒唐無稽だった。前者は「ゴジラ」、後者は「入れ替え」が虚構だが、『聲の形』の"ありえなさ"は、ほぼ全編にわたる。いじめの描写が辛すぎて、原作は1巻しか読んでいない。そのため、この感想は的外れかもしれない。だが、このモヤモヤを溜めると体に悪いので吐き出す。 『聲の形』は、聴覚障碍者の女の子と、彼女をいじめる主人公とのボーイ・ミーツ・ガールの話だ。彼はいじめたことを後悔し、暗転した人生を送るわけなのだが、数年の時を経て、再び彼女に会いに行く。彼の救われなさが、「×印を付けられた他者」や「水底からのような音声」に表象されており、要所で主観世界がドラスティックに変化するアニメ的な仕掛けは良くできている。特に、「その音を感じているのはどのキャラクターか」によって、わたしの「聴こえ」を使い分けているのが

    ファンタジーだった『聲の形』
    REV
    REV 2016/09/20
     AIRとか、KANONの延長線上の作品と考えれば…
  • びっくりするほどディストピア!『暴走する正義』

    行過ぎた管理社会を風刺する短篇集なのに、ちょい昔のSFなのに、「いま」「ここ」感に溢れている。SFとは、空想科学を用いたルポルタージュなのかもしれぬ。 筒井康隆や小松左京、星新一や半村良など、すこし昔の巨匠たちの想像力は、当時の現実の裏返しというよりも、むしろ現代をそのまま幻視する。時代性やエログロ描写を突き抜けて、なつかしい未来を懐古するかのような気分になる。管理社会批判一色に染まってところも皮肉が利いてる。たいした抵抗もせず、軋轢もない、日常の延長上にあるディストピアは、オーウェルやハクスリーのような分かりやすさを求める人には不満があるかも。 たとえば、小松左京「戦争はなかった」のラストがいい。最初はいかにも短篇小説らしいオチを求めていたのだが、宙吊りになる感覚に、思わず「えっ」と声に出していた。これ、ストレートに読んで、風刺として受けとめても愉しいけれど、タイトルを捻って「戦争はなか

    びっくりするほどディストピア!『暴走する正義』
    REV
    REV 2016/03/31
    仲良ししか運営に参加できず、仲の悪い人は入会を否決されるという、びっくりするほどディストピア!『暴走する正義」なSFの話は掲載されているのだろうか。
  • 苦しまないと、死ねない国『欧米に寝たきり老人はいない』

    せめて、死ぬときぐらい安らかに逝きたい。 だが、現代の日では難しいらしい。老いて病を得て寝たきりになっても、そこから死にきるためには、じゅうぶんな時間と金と苦しみを必要とする。寝たきりで、オムツして、管から栄養補給する。痰の吸引は苦しいが、抵抗すると縛られる。何も分からず、しゃべれず、苦しまないと死ぬことすらままならない。 タイトルの「欧米に寝たきり老人はいない」理由は、簡単だが単純ではない。というのも、「寝たきりになる前に(延命治療を拒否して)死ぬから」が答えであることは分かっていても、なぜ「延命治療を拒否する」ことが一般化しているか明らかでないから。書によると、数十年前までは日と同様に、終末期の高齢者に対し、濃厚医療が普通だったという。欧米では、これが倫理的でないという考えが広まり、終末期は「べるだけ・飲めるだけ」が社会常識になった。金の切れ目が命の切れ目。高齢化社会に伴う医療

    苦しまないと、死ねない国『欧米に寝たきり老人はいない』
  • おめでたいアメリカ人『暴力の人類史』

    ここでは、書の「嘘」を暴く形でレビューするので、検証しながら読んでほしい。上下巻で1400頁というボリュームとスケールのでかさで、無批判に鵜呑みにしちゃう方が大勢いらっしゃる。これから手にする方は、そんな一員にならぬよう、レビューの後半に道標を残しておく。 著者は、スティーブン・ピンカー。前著『人間の性を考える』において、あらゆる暴力は環境要因によるという通念に反し、人間には生得的な設計特性として、暴力的なものが予め備わっていると論ずる。『暴力の人類史』では、そこからさらに発展させ、人類の歴史のまぎれもない傾向として、その暴力性が減少していると主張する。 もちろん、昨今の犯罪報道や戦争報道を見る限り、「暴力の減少」とは程遠い印象を受けることは、著者も承知している。20世紀は戦争の世紀であり、今なお内戦や弾圧が起きている。ネットのアンケート結果も然り。「前史時代と初期の国家社会」や「19

    おめでたいアメリカ人『暴力の人類史』
    REV
    REV 2015/07/15
  • 『なぜエラーが医療事故を減らすのか』はスゴ本

    「バグを排除しようと圧力をかけると、バグが報告されないプロジェクトになる」 この寸言は、よく忘れられる。シックス・シグマや日経ナントカに染まった管理者が、バグを目の敵にし、バグゼロの号令をかける。不具合が表面化すると、たまたまそこに詳しいだけの担当を犯人扱いし、なぜなぜ分析を強要し、ccメールや全体会議で晒し者にする。 なぜなぜ分析とは、「なぜそれが起きたのか?」「その原因の原因は?」と、原因を幾重にも掘り下げる手法のこと。5段階も遡及すると、たいてい「私の不注意でした」となり、対策は「意識を入れ替える」という小学校の学級目標になる。反面、もっと深刻な「仕様変更が電話口で伝えられていた」とか「アジャイルの名のもとにテストが省略されていた」などは放置される(なぜなら、「人」を原因にしたいから)。 こんな冗談みたいな施策を続けていくと、スケープゴートになった人はどんどん心をすり減らし、不具合の

    『なぜエラーが医療事故を減らすのか』はスゴ本
    REV
    REV 2015/06/19
    実態はこんな予感がする → http://orangestar.hatenadiary.jp/entry/2015/06/19/080000
  • 医学は科学じゃないんだよ『医学と仮説』

    おもしろい。ツッコミどころはあるが、究極原因にこだわる科学と、因果と相関に注目する医学の違いか。 タバコと肺がん、O-157や水俣病の事例を元に、医学的根拠とな何かを考えさせる一冊。同時に、パンデミックSFによくある、「パニックを避けるという口実で、責任のがれのため公表を伏せる政府」の構造的欠陥が放置されていることも、よく分かる。フィクションではない、かつて起きたことで、これからも大いにありうる未来が見える。 著者が攻撃するのは、要素還元主義だ。いわゆる、「分ければ分かる」というやつ。原因物質を究明し、人体へ影響するメカニズムが解明できる/すべしという立場に、真っ向から勝負する。そして、要素還元主義はしばしば、科学の名において悪用されていると説く。 たとえば、タバコと肺がんの関係。因果関係についてはアメリカ政府の報告書"Smoking and Health (1964)"で証明されているに

    医学は科学じゃないんだよ『医学と仮説』
    REV
    REV 2015/06/02
    「劇的で分かりやすい、ヒ素ミルクや水銀汚染ではなく、長期にわたる放射線障害といった形でお目に掛かるだろう。」 お目に掛からなかったときの科学的対応と医学的対応の差が気になる
  • 『ぼくらが原子の集まりなら、なぜ痛みや悲しみを感じるのだろう』はスゴ本

    意識は科学で説明可能か? このとんでもなくハードな問題に突入する。ギリギリ捻られる読書体験を請け合う。 著者は現役の哲学者、意識という現象を自然科学的な枠組みのもとで理解するという問題(意識のハード・プロブレム)に、真っ向から取り組んでいる。「物理主義」や「クオリア」、「哲学的ゾンビ」「意識の表象理論」を駆使して、科学・哲学の両方に跨がる難問に挑戦する。[wikipedia:意識のハード・プロブレム]に興味がある方は、ぜひ手にして欲しい。深く遠いところまで連れて行かれるぞ。 ハードがあるなら、イージーもある。流行りの認知科学にありがちな、MRIやCT、電気パルスを用いて、脳状態と意識経験の相関を明らかにする研究だ。例えば赤い色を見たとき、脳のどの部位がどのような状態になっているかを解明する問題で、これが意識のイージー・プロブレムになる。怪しげな脳科学者が、「脳はここまで解明された!」と宣っ

    『ぼくらが原子の集まりなら、なぜ痛みや悲しみを感じるのだろう』はスゴ本
    REV
    REV 2015/05/18
    俺のPentiumも、温度センサ出力を「熱い」と感じているかもしれないし、俺のHDDもC5、C6エラーを悲しみに感じているかもしれないな ←対策しろ
  • 死を効率化せよ『医師の一分』

    「死を効率化すべき」という世になるのかも。 命には値段がある(一人一年、一千百万円)。「優先すべき命」とそうでない命がある(子供・労災を優先、自殺未遂・暴走族は後)。こうした音は、トリアージのような切迫した状況だと見えやすいが、普通は病院の壁の向こうにある。ひたすら死を先送りにしようとする現場では、「もう爺さん寿命だから諦めなよ」という言葉が喉元まで迫ったとしても、口に出すことは許されない。 だから、これを書いたのだろう。がんの専門医として沢山の臨終に立ち会ってきた著者が、現代医療の偽善を批判する。自己決定という風潮を幸いに判断を丸投げする医師を嘲笑い、90過ぎの老衰患者に、点滴+抗生物質+透析+ペースメーカーまで入れるのは、当に「救う」ことなのか?と疑問を突きつける。 毒舌を衒ってはいるものの、ナマの、辛辣で強烈な批判は、わたしが死ぬ際の参考になる。他人に振りかざしたなら「不謹慎」で

    死を効率化せよ『医師の一分』
    REV
    REV 2015/03/18
    「絶対に元本は保証する」っていう普通預金が、「もうかりますよ、あなたの家に訪問しますよ、話を聞いてあげますよ」っていう原野商法に負けてしまう話か。株式一覧じゃなくて儲かる株を教えてくれ責任を取る人急募
  • 事故る人と事故らない人のあいだ『交通事故学』

    人は一生のうち、一度は交通事故に遭遇して負傷するか死亡する可能性があるという。書は、その確率をより小さくするための一助となる。 著者は早稲田大学の教員で、行動特性の観点から交通事故におけるヒューマンエラー分析を行ってきた。その知見を元に、人間心理、車の構造、交通システム、運転環境の視点で、「どうしたら事故を減らせるか」に迫る。人は間違いをするものだが、車が衝突するかしないかは、ドライバー次第であるという主張に身が引き締まる。事故る人と事故らない人のあいだには、運以外のものが沢山あることが分かる。 「人は間違える」という前提で、「物陰から急に飛び出してきた」という証言や、「とっさのことで間に合わなかった」という説明が再検証される。突然、危険が発生したかのように聞こえるが、実はその前に判断材料があるにもかかわらず見落とし、判断せずに進行してしまったため事故に至ったケースがほとんどだという

    事故る人と事故らない人のあいだ『交通事故学』
    REV
    REV 2015/01/26
  • バカは死ななきゃ治らない『「ニセ医学」に騙されないために』

    パラシュートジョークを知っているだろうか。 弊社のパラシュートは安全保障つきです。故障したパラシュートをご送付いただければ、無償で新品とお取替えいたします。ですが、今まで一度たりとも苦情をいただいておりません 自然放置療法とか、ナントカが効くとか聞くたび、このジョークを思い出す。気の迷いをなくす鰯のアタマなら可愛いが、それに命を託してしまうほど愚かになってはいけない。わたしの理性や論理の"正しさ"は、気分や体調で簡単に覆る。大病をして精神的にも参ったとき、どれくらい愚かになれるか。予防として読む。 病気になり、気が滅入っているとき、病気の理由を周囲にぶつけたくなる。矛先が家族や医者に向くとき、医学以外にすがりたくなる。病院の治療だけで大丈夫か、他にできることはないか、藁を探してインターネットを掘削する。患者の不安につけこんで、い物にするのは「ニセ医学」だ。 ニセ医学とは、医学のフリをした

    バカは死ななきゃ治らない『「ニセ医学」に騙されないために』
    REV
    REV 2014/10/27
    偽パラシュートに文句を言うと「正規パラシュートが高いんが悪いんや!それに、お高くとまって売りにこないし」って人も多い
  • 人の命は金になる『凶悪 ある死刑囚の告発』

    人を殺し、その命を金に換えるビジネスモデルが詰まっている。 借金にまみれた人生の破綻者、家族からも見放されたリストラ対象者、土地つきボケ老人、生命保険に入っている死にぞこないを見つけてきては酒に溺れさせ、面倒をみてやり、小金を貸してやる。最終的には、土地や預金通帳などを手にいれ、土地は転売してサヤをとる。不動産がなければ保険金だ―――良心ないし魂を売り渡せば、数百万が億になる老人ビジネス。 死刑囚が、獄中から、告発する。被害者は複数で、首謀者は娑婆にいる―――という話なのだが、設定だけ聞くと、よくできたフィクションだ。絞殺死体を焼却炉で燃やす件や、純度の高いウォッカを無理やり飲ませて殺す場面など、非常にフィクションであって欲しいのだが、恐ろしいことに、[上申書殺人事件]のルポルタージュだ。 告発者は元ヤクザで殺人犯の後藤。裏切りか報復か、抑えた筆致でも骨髄まで染みる恨み言に、読んでるこっち

    人の命は金になる『凶悪 ある死刑囚の告発』
    REV
    REV 2014/07/07
  • 知性の性差という地雷『なぜ理系に進む女性は少ないのか』【リンク追加】【2019.9追記】

    「女ってバカだなぁ」こう自問する瞬間がある。 もちろんこの問いそのものが間違っていることは分かっている。バカな男がいるように、バカな女がいるだけの話だし、そもそもわたしの母・嫁・娘だけで一般化することにムリがある。一番バカなのは、問うたわたし自身だ。男女のスレ違いを如実に表わしたコピペ「車のエンジンがかからないの…」の正解は、二行目で「それは大変!僕が送っていくよ」だ。オスカー・ワイルドの「女とは愛すべき存在であって、理解するためにあるものではない」を噛みしめながら、ヴィトゲンシュタインの「語り得ぬものについては沈黙しなければならない」を守るべし。 だが、あえて問うたのが書だ。 発端はハーバード大学学長ローレンス・サマーズの発言。数学と科学の最高レベルでの研究において、統計的に見ると、男性より女性が少ない適性を持つかもしれないと述べたのだ。これは「女性が科学・技術・工学・数学のキャリアに

    知性の性差という地雷『なぜ理系に進む女性は少ないのか』【リンク追加】【2019.9追記】
    REV
    REV 2014/01/12
    「路上で車がパンク、通りすがりの男性に助けてもらったがキモかった」みたいな話を思い出した。
  • ビブリオバトル勝利宣言

    6/9に紀伊國屋書店のビブリオバトルに出場予定だが、ここで宣言しておこう、わたしのオススメが一番ってね。 なぜなら、「これより面白いがあったら教えてくれ」という鉄板をプレゼンするから。この惹句は誇張でもなんでもなく、観客にも問うつもりだ、「これを超える徹夜小説を教えて欲しい」とね。それが何かは―――会場でのお楽しみ―――なのだが、このブログでさんざ褒めちぎっているからここ読んでる方はご存知かと。 ビブリオバトル終了後、1時間くらいのオススメ会をしましょう。赤のウェストバッグをななめに掛けたオッサンがいたら、それはわたしです。twitterでつぶやきながらウロウロしてるので、声かけてください(文庫エリアを中心に徘徊しよう)。わたしのオススメを超えるスゴいのがあるなら、ぜひご教授くださいませ。場所が場所なので、即買ってしまうだろうなぁ… 6/9(土) 紀伊國屋書店 新宿南店 6階コミュニテ

    ビブリオバトル勝利宣言
    REV
    REV 2012/05/22
    ビブリオバトルというから、本で殴り合いをするのかと思った。重たい原書のハードカバーで殴りつける奴が優勝候補。「この問題に関して、○○の原書を読んでその話をしているのか」 このへんでもよく見られる光景。
  • なぜ糞システムができあがるか

    納期が、予算が、バグフィックスが、性能、デザイン、インタフェース、使い勝手、保守が、可用性が、移行にマイグレーション、稼働率が、糞だ。そもそも要求を満たしとらんまともに動かない糞システムが、なぜ莫大な銭金かけてできあがってしまうのは、なぜか? アナリスト、コンサルPM、SE、プログラマ、テスタ、ヘルプデスク、メンテ、ユーザー、そして経営者と、それぞれの立場から言いたいことは山ほどある。それぞれの立場から「これぞ真の原因!」と叫びたいのも分かる。経営者を除き、全てのキャリアをやってきたから。だから、自信をもって断言する。糞システムができあがる、最も根っこの原因はこれだ。 一つ前の仕事をしている それぞれの立場で「やるべきこと」は分かっている。だからこそ、そのインプットが体を成していないことが明白なのだ。仕方がないので、自分で「インプット」相当を作るハメになる。 例えばプログラマ、プログラミ

    なぜ糞システムができあがるか
    REV
    REV 2011/07/08
    「人にパスタを待たせてもいいが、パスタに人を待たせてはならない」という格言があるという。「システムに業務を合わせてもいいが、業務にシステムを合わせてはならない」という言い換えの有効さが気になる。
  • 暁美ほむらの慟哭「紫色のクオリア」

    「まどかマギカの種」と教えてもらって手にする。 書は、真っ二つに割れている。前半は、「人間がロボットに見える少女」の話だし、後半は、「その少女の親友が彼女を救けようとあがく」話になる。なるほど、後半は、まどかマギカをホーフツとさせる設定が見え隠れする。 特に、どうやっても救えない助けられない瀕死で微笑む手遅れ状態のまどかに向かって銃口を向けながら「う゛ーーーっ!!」と叫んだ暁美ほむらの咆哮を、確かに共有できる。後半の主人公に移入して、あの、身を揉むような絶望をシンクロする。 ただ、誰かを助けること+「時」やり直すこと、たくさんの可能性をくり返し試し続けること……といった設定だと、湯水のように使われる設定になる。うる星とドラえもんとハルヒのゴッタ煮のなかに、アルフレッド・ベスターやシュレディンガー、哲学的ゾンビのネタが混ぜ込んである。書いた人、「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」を泣

    暁美ほむらの慟哭「紫色のクオリア」
    REV
    REV 2011/06/20
  • わが子がイジメられてるらしいと思った親が最初にしたこと

    それは記録。 背中が痛いと訴えてくる息子を裸にしたところ、広範囲に内出血跡を見つける。詳細は省くが、殴られたらしい。「すわイジメ」と気負いたつのではなく、ゆっくりと子どもの話を聞く。度を越した悪ふざけなのか、陰湿なやつなのか見きわめがつかないし、子どもの話なので一貫性が見出しにくい。 まず、子どもの話を遮ることなく最後まで聞く。たずねるニュアンスの「訊く」のではなく受け入れるように「聞く」。そいつを逐一記録する。客観的に述べるのは難しいだろう(大人だってそうだ)、だから矛盾点には目をつぶり、ありのまま記録してゆく。ついでに写真も撮っておく。トラブルが大きくなり、収拾がつかなくなってからではなく、(たとえ一面からでもそれを自覚しつつ)子どもからヒアリングを続ける。 次に、「親は味方だ」というメッセージを伝える。独りで抱え込むなという。どうしても言いたくないのであれば、無理に聞くことはない。親

    わが子がイジメられてるらしいと思った親が最初にしたこと
    REV
    REV 2010/11/26
  • ルポルタージュの最高傑作「黒檀」

    ルポルタージュの最高傑作。スゴ。 開高健「ベトナム戦記」が一番だった。しかし、アフリカ質をえぐりだした、リシャルト・カプシチンスキ「黒檀」が超えた。この一冊にめぐりあえただけで、河出文学全集を読んできた甲斐があった。スゴいを探しているなら、ぜひオススメしたい。ただ、合う合わないがあるので、「オニチャの大穴」を試してみるといい。十ページ足らずの、アフリカ最大の青空市場を描いた一編だが、ここにエッセンスが凝縮している。貧困としたたかさ、そしてカプシチンスキ一流のユーモアが輝いている。 アフリカの多様性を言い表すパラドクスがある。ヨーロッパの植民地主義者はアフリカを「分割」したと言われているが、それはウソだ。「あれは兵火と殺戮によって行われた野蛮な統合だ!数万あったものがたったの五十に減らされたのだから」というのだ。アフリカはあまりに広く、多様で、巨きい。だから、大陸全体について書くなん

    ルポルタージュの最高傑作「黒檀」
    REV
    REV 2010/11/03
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 学力低下の本当の原因

    教育の荒廃が叫ばれている。 学校、保護者、子ども自身、そしてそれらを取り巻く環境――官僚、政治家、教育委員会、地域社会が制度疲労に陥っている。教育亡国論が喧しくとも思考停止と非難合戦、手をこまねいているばかり。教育現場は完全に活力を失っており、責任転嫁の応酬に明け暮れている。 ■ 教育改革の担当者は誰か? 象徴的な例を、いくつか挙げよう。ひとつめは、NHK世論調査(※1)だ。「教育改革の担当者は誰か?」という問いかけに対し、こんな結果が得られた。 注目すべきは、教育のまさに現場にいるはずの「教師」と答えたのが、たった8%ということ。あまつさえ、「父母」と答えたのがわずか2%は情けない。いわゆる「お上」任せである。「教育」は政争の具に貶められ、人質化している。そして、いまどきの教師、両親は、当事者意識を完全に欠如しており、犠牲になるのは子どもたちだ。 ■ 4脚のニワトリ、絵の具でできる「き

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 学力低下の本当の原因
    REV
    REV 2010/06/22