時はすべてを癒す。ナオと真冬がひっついてしまえば、女の子二人と男の子一人が失恋する勘定になる。だが恋が成就しなくても人は生きてゆける。愛してその人を得るのは最上だが、愛して得られないことはその次によい。別に? 好きなものは好きだから好きでい続けるだけだよ? とか、まあそんな感じ。 さて一年前に完結した本篇に関しては、ナオの朴念仁っぷりというのはつまり、修羅場の回避──言い換えれば「いかに読者にストレスを与えずニヤニヤさせ続けるか」という技法の問題でしかない、と思っていた。もう一ついえば、こういうことでもあると思うがここではおく。ナオが人並みに敏感で、女の子たちがもう少し優しくなかったら、読者諸兄におかれましてはとてもニヤニヤしているどころではなかったろう。僕はとてもニヤニヤなぞできなかった。複数の乙女心が理不尽にスルーされ蹂躙され続けているというのに、それを陳列し眺めてニヤニヤする、なんて