安全、低コスト、持続可能――。これら三拍子がそろった人工衛星の「水エンジン」の開発に、東京大発ベンチャー「Pale Blue(ペールブルー)」(千葉県柏市)が取り組んでいる。いよいよ宇宙での実証が始まりそうだ。 【写真】「Pale Blue」が開発した人工衛星の水エンジン=Pale Blue提供 開発した水エンジンは、水蒸気や、水蒸気を熱して生成した水のプラズマを噴き出すことで、人工衛星の軌道修正や姿勢制御をする仕組みだ。 推進剤としてよく使われるのが、ヒドラジンのような有毒物質や、キセノンやクリプトンといった希少ガス。高性能で大きな推力を得られるが、毒性が高いと取り扱いが難しく、希少な素材はコストがかかる。 一方、水は無毒なうえに入手も簡単。水が存在する月で補給すれば、人工衛星がさらに遠くの宇宙をめざせるという。 浅川純社長(31)は東京大で航空宇宙工学を専攻。博士課程から小泉宏之准教授