「うず高き 小貝を前に 火を焚けば 原始の人と なりぬわれらは」 尾上柴舟 貝類は大別して、二枚貝と巻貝、それに角(つの)貝の三つに分けられますが、 「しただみ」はニシキウズガイ科の馬蹄螺(ばていら)とよばれる小型の巻貝です。 地方により類似種とともに、シッタカ(尻高)、コシダカガンガラ、イシダタミ ともよばれていますが、サザエに似た旨味があり、現在では塩茹で、煮物、揚げ物、 酢の物、味噌汁の具など多様に調理されています。 万葉のころは生食されていたらしく、ご馳走だったのでしょうか。 そのレシピを詠った珍しい歌が残されているのです。 「鹿島嶺(かしまね)の 机(つくえ)の島の しただみを い拾(ひり)ひ持ちきて 石もち つつき破り 早川に洗ひ濯(すす)ぎ 辛塩(からしほ)に こごと揉(も)み 高坏(たかつき)に盛り 机に立てて 母にあへつや 目豆児(めづこ)の刀自(とじ) 父にあへつや
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