奈良県橿原市と和歌山県新宮市を結ぶ奈良交通(奈良市)の「八木新宮特急バス」が、2011年の紀伊水害後の乗客減少で存続の危機を迎えている。 高速道路を使わない路線バスとしては国内最長の166・9キロを走り、停留所は167。沿線の一部住民には唯一の公共交通機関でもあり、住民らは今月内にも決まる路線の行方に気をもんでいる。 特急バスは現在、両市を毎日片道3便ずつ6時間半で結んでいる。運賃は全線で中学生以上5250円。 運行開始は1963年。山あいの住民の暮らしを支えてきたが、70年代以降、林業の衰退や過疎化による人口減から赤字が続き、2001年度から両県と国が補助金を支出してきた。 追い打ちをかけたのが、紀伊水害。熊野川沿いのルートにある奈良県十津川村の折立橋が川の氾濫で崩落し、土砂崩れも多発して約2か月間、部分運休を余儀なくされた。観光客の減少も影響し、昨年度の乗客は5年前の7割、約9万200