ソフトウエア開発の世界でアジャイル手法が注目されている。「アジャイル」というのは「俊敏な、素早い」という意味の英単語(agile)で、「アジャイル開発」とは、 ユーザーからの要望にもとづいて素早く『動くソフトウエア』を組み立て、それを用いて要望をより具体化しつつソフトウエアに反映させる といった開発スタイルを意味する。 筆者自身もアジャイル開発には共感を覚える。ユーザーが事前に表明できるシステム要件は非常に限られたもので、それに頼って仕様を固めることには無理がある。どうしても、ユーザー要件を漸進的に具体化するための「動くソフトウエア」のような仕掛けが要る。 とはいうものの、その適用に関しては疑問もある。アジャイル開発では、小さなモジュール毎の「設計・構築・テスト・評価」の繰り返し(イテレーション)で作業が進むが、そもそもその「小さなモジュール」を切り出す根拠がよくわからない。この問題はシス
「モデリングセッション(ユーザといっしょに進めるモデリング)がどうもうまく進まない。恥ずかしいのか、ユーザが何も語ってくれない」という相談を受けることがある。よく訊いてみると、ユーザからの信頼を得るという基本的なレベルで失敗してしまっているケースがままある。セッションの場でユーザから信頼を得るためには技術力だけでは無理で、ユーザの「感情」を取り扱うための素養が不可欠だ。 ◆共感的理解とは 初めて吉野に花見に行ったのだけれど、千本桜ってのは誇張じゃないんだね。すごいなあ、あれは。 春の休み明けに読者の友人がそんなことを言ったとする。それを受けて、読者は以下の6つの発言のうちのどれをいかにも言いそうだろうか。自分の会話のクセを思い出しながら考えてみてほしい。 1:桜の季節じゃなかったけど、吉野には3年くらい前に行ったなあ。 2:後醍醐天皇とか天武天皇にゆかりの深い歴史スポットだよね。 3:でも
「ユーザがなかなか仕様を決めてくれないんです」という悩みをじつによく聞く。検討の過程で明確にされたいくつかの選択肢があって、ユーザに決断力がないゆえに決めきれていないとすれば、確かに困ったものだと思う。しかし「ユーザがどんなシステムにしたいかをなかなか明確に語ってくれない」といったレベルの悩みなのであれば、問題はどちらかといえば設計者の側にある。 ◆デートの過ごし方を決める過程 休日のデートの過ごし方に関して男性から尋ねられて、事細かに意向を説明してくれる女性はどちらかといえば少ない。たいていは「うーん、いい景色を見て、なにか美味しいものを何か食べたいな」なんて曖昧な答えが返ってくる。そのときに彼は「イイケシキだのナニカオイシイモノなんて曖昧な言い方をされてもわからない。もっと具体的に説明してくれないか」なんて言うだろうか。 そんなことを言う男がいるとすれば、彼女のいぶかる様子に気づくこと
ユーザ要件は海に浮かぶ氷山のようなものだ。言語化可能な部分は海上に出たごく一部で、大部分は水没していて言語化どころか意識にのぼることさえない。このような要素をシステム設計においてどのように扱うかによって、上流工程のスタイルはまったく違ってくる。 ◆スクラッチ案件での要件の位置づけ 前回のエントリーで説明した「スクラッチ案件」において、要件はとくに重要視される。新システムを構想するためのレファレンスとなる現行システムが存在しないか、あっても貧弱すぎてアテにならないからだ。 そのような案件向けであっても、要件の扱い方は2つの流儀に分かれる。ひとつは要件全体を正面から定式化するやり方。もうひとつは言語化が困難であるような要件については深追いせずに搦め手(からめて)を用いるやり方。便宜上、前者を「A方式」、後者を「B方式」と呼んで検討しよう。 ◆要件をじっくりモデル化するA方式 上流工程手法の多く
社会現象のハイプ曲線(2006-2007) Society socioarcでは2004年、2005年と、年末に「社会現象のハイプ曲線」というエントリでその年のsocioarc的トピックを振り返りながら、今後話題になりそうなトピックを挙げてきたが、2006年末は起し損ねたため、もうすでに2007年も3週間過ぎてしまったが、ここで取り上げたい。なお、社会現象のハイプ曲線とは、念のため繰り返すと、様々な社会現象においてメディアを中心に騒がれ話題になる時期と、実際に社会に大きなインパクトを与える時期にズレがあることを表現しようとするものである。 【社会】 2006年11月には「いざなぎ超え」ともされた「景気回復」が言われているが、主に大企業の輸出や設備投資上の話であり、大半の生活者は余り恩恵にはあずかれていないし、個人消費は引き続き伸び悩んでいる。これは労働分配率の低下とフリーターや派遣などの非
フォーサイト誌12月号「シリコンバレーからの手紙」(124)に書いた「知的生産のプロとしての「サバティカル」の決意」 http://www.shinchosha.co.jp/foresight/web_kikaku/u124.html が、ネット上にアップされました。 年の瀬が近くなるといつも、さて「これから」どうしようかなと思う。 「これから」には「明日」のことも「来年」のことも「次の十年」のことも「もっと先」のことも含まれる。ただ例年は「思う」だけで、別に何か大切なことを決めるには至らないのだが、この暮れには重要な決心をした。ここで宣言しておこう。 「五年以内に十二カ月から十八カ月の『サバティカル』を絶対にとる」 「サバティカル」とは「研究のための長期休暇」の意味で、米国の大学などでは、七年に一度など定期的に、教育義務から解放された有給休暇が得られる制度がある。私は組織に属していないの
交渉を進めるにあたっては、踏まなければならない7つのステップを「RESPECT(リスペクト=「相手に敬意を払う)の法則」と呼んで提示している。以下に、具体的に紹介する。 第1ステップ:Ready(準備する) 交渉を通じて達成すべき目標を定め、その優先順位を決める。同時 に戦略を練り、どんな交渉のテクニックを用いるかについての計画 も怠らないようにする。 第2ステップ:Explore(互いのニーズを見極める) 両者のニーズをはっきりさせて、最初のオファーを切り出す。その とき、あなたは自らの立場を明確にすることに集中する。そして、 相手がオファーを切り出してきたら、ひたすら耳を傾ける。 第3ステップ:Signal(歩み寄りを匂わせる) 両者が条件をすり合わせる場にいることを、常に意識できるような 雰囲気作りに努める。そして、相手とシーソーをするような要領で 互いに交渉成立まで少しずつ近づいて
ヤコブ・ニールセンの考えをまとめたユーザビリティガイドライン ユーザビリティのグル、ヤコブ・ニールセン氏の考えや調査を元にユーザビリティガイドラインを作りました。 デザインやコーディングをしている際に、このガイドラインを元に自分のデザインを一度チェックしてみるのもよいかと思います。 TRANS - ヤコブ・ニールセン氏の考えを元に、ユーザビリティガイドラインを作った。
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