1.爆発する科学 世界をまきこんだ戦争が終わって、堰を切ったようにあふれ出した学術情報、とくに科学文献の数は爆発的に増加した。 こうして、それまで科学文献のよき案内板であった、分野ごとのアブストラクト誌(論文の抄録を収載した定期刊行物)は次第にその役割を果たせなくなってきた。 論文の増加は当然アブストラクト誌のページ数を爆発的に増やし、金額的にはもちろん、物理的にも研究者個人が取り扱えるものではなくなっていった。 なお悪いことに、大量の論文を処理するための時間量もまた跳ね上がり、アブストラクト誌は読者が要求する速報性をますます果たせなくなっていた。 論文が発表されてからアブストラクト誌に載るまで1年以上かかるのがめずらしくなくなった(週刊ないし隔週刊で発行されていることを考えれば、異常かつ望むべからぬ事態だと言える)。 英語以外で書かれる論文は当時はまだ少なくなかったが、これらがアブストラ