物価変動のコスト―概念整理と計測― 2008年2月 宮尾龍蔵* 中村康治** 代田豊一郎*** 全文ダウンロード(PDF) 要旨 本稿では、インフレとデフレを含む物価変動のコストについて、既存研究のサーベイに基づき概念整理を行い、日本の長期低迷期以降における物価変動のコストについての評価を試みる。物価変動の不確実性、貨幣保有の機会費用、ゼロ金利制約、名目賃金の下方硬直性、供給ショックなどの観点から、可能な限り定量的な評価や推論を行った。この結果、バブル経済崩壊後に生じたデフレについては、コストとメリット両面が存在するとともに、コストの大きさについてもかなりの幅を持ってみる必要があることが分かった。日本の物価変動のコストは、単一の視点から議論するのではなく、多様な観点から総合的に評価することが重要であり、今後も定量的な議論を深めていく必要がある。 本稿は、東京大学金融教育研究センター・
財政のサステナビリティと長期金利の動向* 2003年10月 中里透** 副島豊*** 柴田(中川)裕希子**** 粕谷宗久***** (日本銀行から) 日本銀行ワーキングペーパーシリーズは、日本銀行員および外部研究者の研究成果をとりまとめたもので、内外の研究機関、研究者等の有識者から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の中で示された内容や意見は、日本銀行の公式見解を示すものではありません。 なお、ワーキングペーパーシリーズに対するご意見・ご質問や、掲載ファイルに関するお問い合わせは、執筆者までお寄せ下さい。 以下には(要旨)を掲載しています。全文は、こちら(wp03j07.pdf 551KB) から入手できます。 本稿の作成にあたっては、岩本康志氏、北村行伸氏、齊藤誠氏、調査統計局のスタッフから有益なコメントを頂いた。才田友美氏には、データの改訂作業を手伝
民事訴訟法上の文書提出義務について -証言・文書提出等に関する他の制度との比較の視点を交えて- 戸塚 貴晴 本稿は、民事訴訟法における文書提出命令について、その概要を紹介するとともに、類似の制度との比較等を通じ、これに関する議論の整理を行う。 平成8年の民訴法全面改正により、旧法では限定的に課されていた文書提出義務が、一定の例外を除き、すべての非公務文書に課されることとなった。旧法でも、文書提出義務の範囲は拡張的に判断されていたため、改正後の提出義務の範囲がどう変化するかについては、判例や実務の確立を待つ他ないが、新法下での義務の範囲は広くなるとの見解が多く、実際にそのような考え方に立つ判例も現れはじめている。また、民事訴訟のために文書提出を求められる可能性も、改正前より高くなることには注意が必要である。 非公務文書の提出の要否を判断する際に特に問題となるのは、「技術・職業上の秘密」および
外務省は15日、作成後30年経過した外交文書について、原則として自動的に公開する制度を導入する方針を固めた。16日に同省で開く「外交記録公開・文書管理対策本部」の初会合で提起する。例外的に非公開とする場合も、文書の担当課に理由の説明を義務づけることで、公開を徹底する考えだ。 外交文書の公開は、国際的な基準に合わせ、戦後の文書を対象に「原則30年を経た外交記録を一般に公開」との方針で1976年に始まった。これまで計21回、約1万9千件が公開されたが、どの文書を公開するかは担当課が事実上決めてきたため、「国益を損なう」などを理由に、30年経ても公開されない文書や非公開部分を黒塗りにした文書が多くあった。 新制度では、明文化されていなかった30年経過後の文書公開を規則に明記する方向。事務次官をトップとし、有識者も加えた推進委員会が、外交記録の公開業務を担当する「外交記録審査室」に助言・指導す
(英エコノミスト誌 2010年3月13日号) 日本の国家財政には憂慮すべき未来が待ち受けている。 ギリシャ神話に登場する悲劇の預言者カッサンドラは呪いをかけられていたため、その警告は誰にも信じてもらえなかった。日本の国債市場の破滅を予言する人々も同様の運命に耐えているが、カッサンドラほどの悲運ではない。予言があまりに早過ぎただけだ。 日本国債の破滅は何年も前から明白であるように思われた。日本は財政赤字を出し続け、格付け会社に国債格付けを引き下げられてきた。国債利回りは1~2%で推移していたことから、弱気筋の賭けによる利回り下落リスクは限定的で、反対に上昇の余地が極めて大きいように見えた。 あまりに早過ぎた予言 ところが、そのような動きは全く起きていない。日本政府はいまだに、世界で最も低い借り入れコストを享受している。20年物国債の利回りは今でもわずか2.1%、2年物に至っては0.15%とい
2008年9月15日という日付は、金融業界の記憶にしっかり刻み込まれている。米リーマン・ブラザーズが破綻したこの日、過去数十年間で最も深刻な金融危機は転換点を迎え、資本市場がパニックし、国際貿易が事実上凍りついたからだ。 同社が世界的な有力投資銀行の座に登りつめ、そこからあっという間に滑り落ち、大変な被害をもたらす米国史上最大の企業倒産劇へと至った過程を活写した書籍や雑誌記事は、既に数多く発表されている。 しかし、このたび公表された報告書はシカゴを本拠地とする弁護士がこの倒産劇を徹底的に調査し、1年かけてまとめたもので、リーマンを悲惨な運命に追いやった経営陣の失敗、破壊的な企業文化、向こう見ずなリスクの取り方などを白日の下にさらす内容になっている。 2200ページに及ぶ報告書をまとめたのは、リーマン破綻の責任が誰にあるかを調査するよう連邦裁判所から依頼を受けたアントン・バルカス氏。3月11
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