ぎりぎりになって新入生演習共通テキストの教材を書く。なぜぎりぎりになるかといえば、提出する相手が自分(教務委員)だから。これで共通テキストの編集作業は一応完了のはずなのだが、書式の統一などをやっているといつの間にか一日が終わっている。 課題例5 J・S・ミル『白由論』の最後の八つの段落(岩波文庫、1971、217頁6行目~229頁/中公世界の名著38、1969、340頁下段18行目~348頁)を読み、要約と論評を試みなさい(2400字以内)。 1.『白由論』の執筆目的――危害原理の提示 課題資料として挙げられているのは『白由論』の最後の部分で、そこでは政府が個々人の活動を積極的に手助けすることの問題性が論じられています。『白由論』が主に論じているのは政府が個々人の活動を制限することの問題性なので、この部分は、本論と直接関係のない傍論として片づけられることも少なくないのですが、非常に重要な内
世界システム論は学派としてはさほど有力なものではなく、経済学全体から見れば新マルクス派の一部としてのみ意味を持つ。しかし、一方でこの学派はかなりの通俗的人気を持っている。このため少し別枠で述べておく価値はあるだろう。 世界システム論は、ある意味でイマニュエル・ウォーラーステインの一人学派であるとすらいえる。ここ数十年にわたり、かれがこの学派の筆頭格であり、理論的にも派閥的にもウォーラーステイン以外に目立つプレーヤーはいないと言っていい。 この学派は、フェルナン・ブローデル/アナール学派の地中海研究や資本主義の発展史を直接の先人としている。その意味でフランス歴史学派の後継学派といえないこともない。資本主義の発展プロセスにおいては、単に市場に参加者が参加することで一気に資本主義が形成されたわけではない。多くの要因が相互にからみあい、その複雑さを増してきたこと、そしてその過程でそれまでは世界市場
肩をすくめるアトラス。 (『CUT』2000 年 05 月) エイン・ランド。アイン・ランドと読む人にも会ったことがあって、どっちが正しいのかぼくは知らないのだけれど。(注:「アイン・ランド」が正しい。失礼)アメリカ人のインテリ層の 1/3 くらいは、人生のどこかでこのおばちゃんと何らかの対決を迫られる。有名どころだと、いまのアメリカの連邦準備銀行親玉のアラン・グリーンスパンは、ランド信奉者(でもないけれど非常に好意的な人)として有名だな。(注:その後調べてみると、なんか彼女のセミナーに夫婦そろって出入りしたりしていて、本人ともかなりつきあいがあったとか)そしてそのランドおばちゃんの、全身全霊をこめた大思想小説が、Atlas Shruggedというこのすさまじい小説だ。 (注:その後、このAtlas Shruggedの翻訳が決まったそうで、とりあえずはめでたい。だがその翻訳者から 2001
未来図書目録 アイン・ランドとは誰か 『インターコミュニケーション』 2002年Spring 橋本努 書きたい本や企画したい本ならたくさんある。しかしそういう話は直接出版社に持ち込むことにして、今回はニューヨークに関係する内容に絞りたい。まだ翻訳のないアメリカの女流作家、アイン・ランド(1905-1982)について紹介したいのである。 アイン・ランドと言えば、40年代にはハリウッド映画やミュージカルのシナリオ作家として、50年代には国民的な大衆小説の作家として、また60年代以降はリバタリアニズムの政治思想を代表する哲学者として、アメリカではかなり有名になった女性である。逞しく、美しく、しかも破天荒な人生を送ったヒロイン的存在である。現在でもニューヨークの書店では、哲学や文学のコーナーに必ずといっていいほど彼女の本が数冊並んでいる。出版社ランダムハウスによるアンケート結果(1998)では、「
────────────────────────────── 今日のネオコンを「本義を貫徹せざる者」として批判するべし ────────────────────────────── 【本書の論旨】 ■今日いわばネオコンの「バイブル」となった本書を読まれた方々、とりわけ米国のネオコンについて定型的なネガティブイメージを抱く方々の多くは当惑されよう。ネオコンを支える考え方や感受性は間違っていないじゃないか、と思われた方々も少なくないだろう。 ■そうした読後感は正しい。ネオコンの政策には確かに間違いがあるかもしれない。しかし日本に限らず巷で流布する定型的イメージは、ネオコンの肝腎な部分についてカバーしていない。だから批判が甘い。大半の批判はネオコン側がとうに「想定済み」のものだ。 ■本書の論点は単純だ。㈰他国の恐怖政治は自由で民主的な先進国にとっての脅威だ。㈪しかるに今日の恐怖政治は先進国の「勘
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