1962年、フランス人地質学者のミシェル・シフルは深さ120メートル以上の地下洞穴に潜り、2ヶ月そこに滞在した。彼は時計など、時間を示す機器を一切洞穴に持ち込まなかった。「時間を越える」生活を体験するためだ。 そうして彼が明らかにしたのは、時間を示す外部の指標がなければ、人間は日にち、時間、分数といった時間の感覚を失くしてしまうことだった。彼が洞穴に潜ったのは7月16日。もともと9月14日に地上に出る予定だったが、当日になって彼のチームが本人にそれを知らせたところ、シフルの感覚ではまだ8月20日だった。「あと1ヶ月、洞穴の中で過ごすものだと思ってました。私の心理的時間は、2分の1の速度で進んでいたんです」とシフルは2008年のインタビューで語っている。 私たちは現在、シフルのように日光も差し込まない洞穴で、暗闇のなか生活しているわけではないし、携帯や時計を奪われてもいない。しかし、みんなで
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