久米 泰介 翻訳家 1986年、愛知県生まれ。関西大学社会学部卒、ウィスコンシンスタウト大学人間発達家族学MS(修士)取得。専門は社会心理学、男性のジェンダー、父親の育児。翻訳書にワレン・ファレル著『男性権力の神話』 この著者の記事を見る
![母系社会がはらむ、語られない男性差別:日経ビジネスオンライン](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/05f492a9ba706b05ca8fd61b1840b099fb59fdc9/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fbusiness.nikkeibp.co.jp%2Fimages%2Fn%2Fnbo%2F2011%2Fcommon%2Fnbologo_ogimage.png)
久米 泰介 翻訳家 1986年、愛知県生まれ。関西大学社会学部卒、ウィスコンシンスタウト大学人間発達家族学MS(修士)取得。専門は社会心理学、男性のジェンダー、父親の育児。翻訳書にワレン・ファレル著『男性権力の神話』 この著者の記事を見る
そう言って私に、ほんの2時間もしない前に起こったシャルリー・エブド新聞社襲撃事件を知らせてくれた。私は外出をとりやめて、着たばかりのコートを脱ぐと、すぐにフィガロ紙のネット版にアクセスをした。 あの津波が日本の東北地方をのみ込んで行く、上空からの映像を見た時のショックには勝らずとも、ネットの速報記事を読みながら、血が引いていくのを感じた。シャルリー・エブド新聞社は、私が住む13区から自転車でも10分ほどの場所。サイレンの音が嫌に多く聞こえてくることにも気がついた。 事件を知らせてくれた隣人の若いマダムは小学校の先生だが、出産したばかりで育児休暇をとって家にいる。夫も小学校の先生で、授業が午前のみの水曜日の午後は、普段なら課外活動のスポーツクラブのコーチをするが、その日の課外活動は急遽中止になって、直ぐ家に戻って来ると言う。 「学校に行っている私の子供たちは、どうしているのだろう」。その日は
「街の声」依存症 テレビニュースがすっかり「街の声」にすがるようになった。 ワイドショーのニュースの成分を冷ややかに解析すれば、「ボードに貼った新聞の切り抜きでニュースを指差す・30%」+「識者のコメントや事件現場等の独自取材・30%」+「街の声・20%」+「コメンテーターに聞く・20%」だ。 コメンテーターに割く時間は年々減っており、むしろ彼らには、ワイプ芸人のように、哀しい事件の時に哀しい顔をし、歓喜のニュースに歓喜できることが求められるようになってしまった。ヌルいコメンテーターが定期的に「殺人犯はアニメに影響された」とか言ってしまうものだから、コメンテーターという職種自体がホウキを持って電脳空間を飛び回る失言探しの餌食にされやすくなった。だから、番組はコメンテーターに語らせずに、スタジオを飛び出して「街の声」に頼ってしまう。 「街の声」の漁場探し 「街の声」の利点は、撮った側があらゆ
単身スコットランドに渡り、万年筆とノートだけで、ウイスキーづくりの技術を習得したと賞賛された竹鶴政孝氏。竹鶴氏がスコットランド留学時に記したノート、通称「竹鶴ノート」は、今もウイスキーづくりに携わる人々にとって大切な指南書だといわれる。ノートは長い間所在不明だったが、竹鶴氏が最初に所属していた大阪の老舗洋酒製造会社「摂津酒造」の上司である岩井喜一郎氏の関係者が保存していたことが分かり、ニッカウヰスキーに寄贈された。今回は、その内容に迫っていく。 竹鶴ノートに10年前に出合い、現代語訳を手がけているのが、1998年にハイランド・ディスティラーズ社より「世界のウイスキーライター5人」の一人として選ばれた、ウイスキー評論家の土屋守氏だ。土屋氏は「このノートには竹鶴氏の人柄も、当時のスコットランドの様子も、そして現代に通用するビジネス成功へのヒントまでもが詰まっている」と話す。そんな魅力あふれる竹
『絶対に受けたくない無駄な医療』では、米国の医学会が「Choosing Wisely」で挙げた100の無駄な医療を列挙している。 前回の連載で指摘しているように、無駄な医療の中には、医師により誘発されたものも存在している。世界的に権威のある医学誌の一つ、「Lancet(ランセット)」に2011年に掲載された論文からその一端を読み取ることができる。ここで指摘されたのは、「医師の自由放任主義」だ。それが機能してきた面はあったが、既に限界に達しているという指摘だった。 Choosing Wiselyの具体的な内容を改めて見ていきながら、構造問題に紐解いていこう。 はじめに、読者のみなさんにひとつ質問をしようと思う。見出しでも打ちだしているが、CT検査で受ける被曝量がどの程度か、という質問だ。
モルトファンならば、「ハイランドパーク」の名前を知らない人はいないだろう。小さな蒸留所ながら、優しいスモークとフルーティーな味わいで初心者からコアファンまで幅広い層に浸透。2年前に日本国内での正規代理店がレミー コアントロー ジャパンになってからは、折からのウイスキーブームもあって2桁の伸びを示している。「ハイランドパーク」が展開する販売戦略の1つが“物語(ストーリー・テリング)”だ。それは「ハイランドパーク」のルーツだったり、新商品に関わるストーリーだったり。来日した同社グローバル・ブランド・アドヴォケイト、ダリル・ハルデイン氏に「ハイランドパーク」の物語を聞いた。 (聞き手は森田 聡子) 「ハイランドパーク」の「ハイランド」は? ハルデインさんの「グローバル・ブランド・アドヴォケイト」という肩書きは日本ではあまり聞き慣れないものですが、どのようなお仕事をなさっているんですか。 ハルデイ
英国で通称“ビッグ4(フォー)”と呼ばれる日本食のファストフードチェーン4社が、英国のみならず、欧州大陸から中東諸国、オーストラリア、そして米国へと事業を急拡大しているのをご存じだろうか。 そのビッグフォーとは、「Wagamama(ワガママ)」、「Wasabi(ワサビ)」、「Yo!Sushi(ヨウ!スシ)」、そして「Itsu(イツ)」。 ロンドンにあるこれらの店舗はいつも若者で賑わっている。ワガママのファンというサイモン・ディーン氏(27歳)は、「ワガママはランチやディナーを気楽に食べられるし、料理はいつも新鮮だし、すぐに出てくるし、とにかく、いいね」と話す。 興味深いことにビッグフォーには、ある2つの共通点がある。1つは、いずれも日本人の手による経営ではないこと。そしてもう1つは、ロンドンで創業されたことだ。 日本では、政府による「クールジャパン」の掛け声のもとに、日本文化の世界進出に躍
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 自転車がブームだ。「健康によい」「環境にやさしい」「交通渋滞や駐車場不足を緩和する」と、多くの国で官民あげて自転車の普及に乗り出している。世界保健機関(WHO)は、世界の死亡原因は「運動不足」が喫煙に次いで2番目だとして自転車利用を推奨する。だが、近年自転車は男女とも性器への影響が大きいとする警告がいろいろと報告されている。自転車は結構ずくめではないらしい。 人気をよぶ自転車 英国で自転車や徒歩の移動を推進する団体「サストラン」は、自転車は購入などに1を投入すると、医療費や交通費の削減など20倍の恩恵が得られるという報告書を発表した。自転車は徒歩に比べてエネルギー効率は3~4倍も高く、速度は4倍も速い。とくに、最近のガソリンの値上がりも、ブー
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン みなさんの持つ「小さな国」というイメージとは異なり、日本は面積、人口といった物理面でも大国であり、生物資源も非常に豊富な国である。そして、侵略的外来種の輸出国でもある。コイ、ワカメ、イタドリといった日本人にとって非常になじみ深い、そして決して悪者ではない生物が世界中で忌み嫌われていることを前回紹介した。 もしかすると、ここまではご存知の方も多い話かもしれない(恥ずかしながら筆者は侵略的外来種100にワカメが含まれていることを、このコラムを書くために調べるまで知らなかったが…)。 さあ、お立ち会い。ここからはきっと新しい話だと思うので、私の無知の証明でないことを祈りつつご紹介したい。 「ツボカビ」って聞いたことがありますか? 数年前、両生類が感
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン (前回から読む) 20世紀前半に吹き荒れて、全欧州を瓦礫の山にし、数千万人の死者を生み出したナチズムや、21世紀に入ってから9.11に代表されるイスラム原理主義の自爆テロの嵐が発生した真の原因は、何だろうか。 第一次大戦の敗戦国、ドイツにとって過酷だった戦後ベルサイユ体制や、世界恐慌の発生、ドイツの国民性、あるいは中東諸国の専制政治体制や貧困など、様々な原因が語られてきた。しかし、どれも表面的な分析の印象は免れず、「真の」発生原因として説得力は弱い。 例えば、自爆テロの原因が貧困や専制政治にあると言うのは、9.11の自爆犯が金持ちの息子たちや国外留学組のエリートたちであったことを想起すれば、ほとんど説得力がない。ハンチントンのように「文明の衝
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