何を血迷ったか、不意に、水戸芸に行くぞ、と思い立った。1990年の開館とあるから、ちょうどぼくが現代美術にコミットしていた時期に不意に現れた施設のひとつだったのだが、当時横浜に住んでいた身からすると、水戸は遥かなる場所で、足をのばそうという気にならなかった。宮島達男の仕事をまとまって紹介する「宮島達男 | Art in You」が開催中で、なんとなく興味が沸き、職場のサイボウズのスケジューラに土曜日の予定として書き込んでおいた。 なんでわざわざそんなことをするかといえば、「行くぞ」と宣言するくらいでないと面倒くさくなって行かないからである。衰弱堂を知っている人ならわかると思うが、彼は極度に活動量の少ない人間だ。旅行なんてものは首根っこをひっつかまれでもしなければ行きやしない。そんなことをするくらいなら、家で本を読んでいるか惰眠を貪っているほうがよほど有意義だと思い込んでいるわけである。 池