震災前から、東北地方はじめ全国の農山漁村では、「農」と「食」を起点に地元の資源を地域のアイデンティティの象徴として再生させる動きが高まっていた。とくに海に面した三陸では、幾多の条件不利を乗り越えながら、地域資源の恵みを活かした取り組みが重ねられてきた。 その背景には地方や農山漁村特有の問題、具体的には人口減少と超高齢化、過疎化、限界集落の急増などがあげられる。さらにその誘因として、製造業や建設業を中心とした雇用の場の縮小、第1次産業の担い手不足、耕作放棄地の増加などがあり、地域問題をスパイラルに構造化させていた。一方で、地域に根深い問題を、住民や行政が自らの手で克服していくかのような試みも各地で生まれつつあった。 そうしたなか、地域での受け皿として存在感を高めてきたのが「道の駅」である。地域産業振興の拠点、人びとの交流の拠点として、地域に根差しながら進化を遂げてきた。最近では、公共的な機能