摂取した食物由来の遺伝物質が、遺伝子の発現に直接作用することが明らかになったそうだ(nature.comに掲載された論文、 DISCOVER blogsの記事、 本家/.)。 中国の南京大学の研究チームが、ヒトの血液に含まれるmicroRNA(miRNA)を調べていたところ、その一部が植物由来であることに気付いたという。最も多くみられたのはコメのmiRNAであり、被験者が食事から摂取したものであることが分析の結果確認されたとのこと。 miRNAは遺伝子の発現を制御する機能を持っているとされており、コメのmiRNA「MIR168a」を細胞内に入れるとLDL受容体レベルが低下したそうだ。これはLDL受容体のアダプタータンパク質「LDLRAP1」のmRNAとMIR168aが結びつき、LDLRAP1の発現が抑制されたことによるもので、結果としてLDLコレステロール(悪玉コレステロール)値が上昇する
日本イーライリリーは11月8日、経口血糖降下薬2剤目を服用していて効果が得られていない患者に対して、医師の約半数がGLP-1受容体作動薬を処方したいと考えているとの調査結果を発表した。また、GLP-1受容体作動薬に対して「非常に期待している」ことを聞いたところ、同剤の副次的作用の「体重増加の抑制」が52.4%と最多となり、次いで「HbA1cの改善」が42.7%となった。従来の糖尿病治療の課題とされている項目に対して、GLP-1受容体作動薬が高い期待を集めた格好だ。同社は10月27日に国内2番手となるGLP-1受容体作動薬「バイエッタ皮下注」の製造販売承認を取得している。 調査は9月22日~27日に医師206人を対象にインターネットで実施した。調査対象の医師は、月平均30人以上の2型糖尿病患者にインスリン製剤を処方していることを条件とした。 「GLP-1受容体作動薬を最も処方したいと思う患者
IP3レセプターは、心不全治療の新しいターゲット -IP3レセプターを介するカルシウムイオン流出が心肥大の原因に- ポイント 生きたマウスの心臓で、II型IP3レセプター活性化が心肥大を引き起こすことを確認 IP3レセプター活性化の抑制が、アンジオテンシンIIなどによる心肥大を防ぐ 心肥大を伴う心不全の新規治療薬開発へ第一歩 要旨 米国シンシナティ大学(グレゴリー・ウィリアムズ学長)と独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、生きたマウスの心臓(生体心)を用いて、慢性心不全の主原因とされる心肥大の形成に、細胞内カルシウムイオンチャネルであるイノシトール三リン酸受容体(IP3レセプター)※1がかかわっていることを明らかにしました。シンシナティ大学の中山博之研究員(現、大阪大学大学院薬学研究科准教授)、ジェフリー・モルケンティン(Jeffery Molkentin)教授と理研脳科学総合研究
花粉症やアトピー性皮膚炎といったアレルギーの発症を強く抑える働きがある細胞表面のたんぱく質(受容体)を、筑波大の研究チームが発見した。マウスの実験で、この受容体を刺激するとアレルギーを引き起こす物質が細胞の外に出なくなり、アレルギー反応を抑えることができた。ヒトも同様の受容体があり、アレルギー疾患の根本的な治療法の開発につながる可能性がある。6日付の米科学誌ネイチャーイムノロジー(電子版)に発表した。 ダニや花粉などアレルギーの原因物質(抗原)は、体内で抗体(IgE抗体)と結合し、全身の肥満細胞の表面にくっつく。このときに肥満細胞を活性化する物質(シグナル)が出ることで、細胞の外にヒスタミンなどの化学物質が放出され、アレルギー症状が起きる。どのアレルギー疾患にも共通のメカニズムだ。 筑波大大学院の渋谷彰教授と田原聡子助教らは、肥満細胞の表面で、肥満細胞を活性化するシグナルの伝達を阻止す
多動症発生の仕組み解明=診断、新薬開発に期待−群馬大など 多動症発生の仕組み解明=診断、新薬開発に期待−群馬大など 行動を抑制できず、落ち着きのない状態になる多動症が発生する仕組みを、群馬大と独ゲーテ大の共同研究チームがマウスの実験で解明した。多動症の診断や症状を抑える薬の開発に役立つ成果と期待される。欧州分子生物学機構の専門誌(電子版)に発表した。 研究チームは、脳内のタンパク質「CIN85」に着目。正常なマウスでは、体を動かす情報を伝えるため、神経伝達物質ドーパミンが神経細胞の間でボールのように放たれる。神経細胞の表面にある受容体がグローブの役割を果たしてドーパミンを受け止めると情報が伝わり、体が動き始める。CIN85は、受容体を細胞内に引き込み分解することで、運動を抑制する機能を果たしている。 一方、CIN85をなくしたマウスでは、ドーパミンを受け止めた受容体が細胞表面にとどまる
減量プログラムを行う米カリフォルニア(California)州リードレイ(Reedley)にある全寮制の学校ウェルスプリング・アカデミー(Wellspring Academy)で、インストラクターの指導の下、減量に取り組む生徒(2009年10月19日撮影。資料写真)。(c)AFP/Getty Images/Justin Sullivan 【3月29日 AFP】過食によって肥満になる人の脳内の分子経路が、麻薬中毒者のものと同じだとするラットによる実証研究が、28日の米科学誌ネイチャー・ニューロサイエンス(Nature Neuroscience)電子版に発表された。 米フロリダ(Florida)州のスクリプス研究所(Scripps Research Institute)のポール・ケネディ(Paul Kenny)准教授の研究チームは、脳内の報酬系の過剰刺激が快楽物質の中毒状態を引き起こすとの仮説
米ニューヨーク(New York)のベーカリーに並んだカップケーキ。(2010年2月19日撮影、資料写真)(c)AFP/Stan HONDA 【3月9日 AFP】オーストラリアの研究者らがこれまでに知られている5つの味覚、「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「うま味」に加えて、第6の味覚「脂(あぶら)味」が存在する可能性があるとの論文を発表した。人間がポテトチップやチョコレートケーキなど脂質を多く含む食べ物を好む理由はここにあるのかもしれない。 オーストラリアのディーキン大学(Deakin University)、アデレード大学(University of Adelaide)、ニュージーランドのマッセイ大学(Massey University)、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の共同研究で、研究者らは30人の被験者に溶液に溶かした複数の脂肪酸の味を感じるか調べる実験を行った。そ
知って上達! アレルギー 【第12回】 蕁麻疹 森本佳和(医療法人和光会アレルギー診療部) (前回からつづく) 今回は,よく出合う疾患の1つ,蕁麻疹です。まず,蕁麻疹の膨疹を理解しましょう。蚊に刺されたあとのプックリというとイメージしやすいです。特徴は,薄紅色でわずかにふくらみがあり,押すと色が退色し,かゆみを伴います。また,1つの膨疹に注目すると,24時間以内(ほとんどは数時間以内)で消えることもポイントです。 対して,押しても色が抜けない,一度出た皮疹1つをみると何日にもわたってそこに存在する,といった場合は,他の疾患,例えば単純性痒疹といったものから,血管炎,皮膚リンパ腫なども含めた鑑別が必要になります。 急性はアレルギー反応,慢性は原因不明が多い さて,この蕁麻疹ですが,発症してから1か月以内のものを急性蕁麻疹,1か月以上のものを慢性蕁麻疹と分けます1)。「そうすると,1か月に3日
Home Series Hyaluronan Today Xenopus(ツメガエル)モデルを用いた発生過程におけるヒアルロン酸役割評価 Mar. 2, 2010 Xenopus(ツメガエル)モデルを用いた発生過程におけるヒアルロン酸役割評価(2010 Vol.14, A1) Davide Vigetti / Michela Ori / Alberto Passi はじめに HAの代謝とその進化的側面 エネルギーバランスとUDP-糖前駆体の役割 HAの異化 モデルシステムとしてのXenopus laevis(アフリカツメガエル) Xenopus laevis胚形成およびHA合成におけるUGDHの役割 胚発生におけるHASとHAシグナル伝達の役割 Xenopus発生期におけるHASの発現 Xenopus発生に伴うHas2とCD44の機能的研究 結語 謝辞 氏名:Davide Vigetti
平成21年12月15日 独立行政法人 放射線医学総合研究所 【陽電子断層撮像装置による脳機能研究】 通電治療法の抗うつ効果 ドーパミン受容体が減少 −難治性うつ病治療における通電治療法の役割解明へ− 独立行政法人 放射線医学総合研究所 (理事長:米倉 義晴) 分子イメージング研究センター※1 菅野 巖センター長、須原 哲也グループリーダー 西條 朋行研究員(現・日本医科大学精神神経科助教) 日本医科大学(学長: 田尻 孝)精神神経医学教室 大久保 善朗教授 医療法人静和会 浅井病院(理事長:浅井 邦彦)の共同研究 【概要】 陽電子断層撮像 (PET※2) 装置と高性能PETプローブ※3を用いて、難治性うつ病の治療に有効な通電治療法 (ECT※4) が、うつ病患者脳内のドーパミンD2受容体※5を減少させることを明らかにしました。ECTによる脳内神経受容体変化をうつ病患者の生体
平成21年11月18日 独立行政法人 放射線医学総合研究所 【陽電子断層撮像装置による脳機能研究】 世界初:抗精神病薬のドーパミン生成能安定化作用を発見 −統合失調症の治療効果メカニズムの 客観的解明に大きな一歩− 独立行政法人 放射線医学総合研究所 (理事長:米倉 義晴) 分子イメージング研究センター※1(センター長:菅野 巖) 分子神経イメージング研究グループ (グループリーダー:須原 哲也) 脳病態研究チーム 伊藤 浩チームリーダー 【概要】 陽電子断層撮像装置(PET※2)と高性能PETプローブ※3を用いて、統合失調症の治療に用いられる抗精神病薬※4がドーパミン※5生成能を安定化させる作用をもつことを世界で初めて明らかにしました。抗精神病薬のドーパミンD2受容体※6遮断作用以外に、これまで確認されていなかった作用を人の脳をイメージングすることで発見した画期的な成果です。
前の記事 「児童ポルノ所持」の恐怖:濡れ衣を着せられた高校教頭 渡り鳥は磁場が見える:青色光受容体と磁気の感知 2009年6月30日 Brandon Keim Image: fdecomite/Flickr 地球を股にかけた「渡り」でも行き先を誤ることがない渡り鳥たちには、細胞レベルでナビゲーション・システムが備わっているようだ。科学者らは少しずつ、このシステムの解明に近づきつつある。 パズルの1ピースとして最近明らかになったのは、「スーパーオキシド」と呼ばれる活性酸素の一種だ。これが感光性タンパク質と結びつくことで、鳥の目の中にコンパスが生成され、地球の磁場が「見える」ようになるという。 このスーパーオキシド説を提唱したのは、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のKlaus Schulten教授(生物物理学)。同教授が主執筆者となった論文が、『Biophysical Journal』誌6
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