【ウィーン=末続哲也】福島第一原発事故に世界の関心が集まる中、4日からウィーンで開かれている原子力安全条約再検討会議は、6日の日本の条約履行状況に関する分科会で福島事故を巡る討議をほぼ終えた。 国際原子力機関(IAEA)は今後、6月の閣僚級会議で原発の安全基準などで具体的議論に着手する。 6日の分科会では、低濃度放射性物質を含む汚染水の放出問題で各国の懸念表明が相次ぐなど、日本の対応への厳しい雰囲気もにじみ出たが、「事故から教訓を得て今後の対応につなげるという国際社会の共通認識は出来上がった」(外交筋)とされる。この認識は、14日の最終日に発表の議長報告に盛り込まれる。 6月の閣僚級会議では、既存の安全基準などの大幅見直しは避けられない情勢だが、再検討会議出席中の欧州のある政府筋が「見直しはコストがかかる。安全への対応は国ごとに異なる」とけん制するように、負担増につながる基準見直しには警戒