太平洋戦争において、世界を驚かせた日本の航空機技術。その代表とも言える「零式艦上戦闘機五二型」は、オリジナルのエンジンをそのまま搭載し、飛行可能な状態で保存されている機体は世界にたった1機だけである。 オリジナル・エンジンかつ飛行可能な唯一の機体米プレーンズ・オブ・フェイム・エア・ミュージアムが所蔵する、オリジナルのエンジンかつ飛行可能な状態の零式艦上戦闘機五二型(画像:矢吹明紀) 1936(昭和11)年、日本海軍の制式艦上戦闘機は、九試単座戦闘機から発展した九六式艦上戦闘機となった。 この機体は、艦上戦闘機としては当時の世界水準を上回る最新のコンセプトと機体構造、すなわち全金属製モノコック低翼単葉構造となっていたのが特徴である。 狭い飛行甲板からの運用が前提だった艦上戦闘機における当時の標準的な機体構造は、離着陸性能に優れた複葉であり、単葉の採用は異例中の異例だったのである。また空力的な