半導体不足が長期化するなか、半導体のサプライチェーン(供給網)を構成する商社や装置メーカーが安定供給に向けた孤軍奮闘を続けている。商社の営業マンは顧客メーカーとの交渉に走り回り、装置企業の担当者は部材調達や設計変更に力を入れる。あらゆる産業になくてはならない半導体だが、それを生産し流通させる現場にスポットライトが当たることは少ない。知られざる現場の努力と挑戦に記者が迫った。 自動車部品メーカーと連日交渉 1次自動車部品メーカー(ティア1)に部品を供給する国内のある半導体商社は2020年末以降、車載半導体の供給を巡る部品メーカーとの交渉が急増した。自動車メーカー側からは「これだけの台数を生産したい、なんとか半導体を調達できないか」との目標を突き付けられる。しかし、半導体メーカーの生産能力には限界があるため、商社側の営業マンは「これだけしか確保できません」と事情を伝え、現実的な妥協点を探る日々
1976年に富士通研究所に入社とともに半導体デバイスの研究に従事。1988年から富士通で先端DRAMの開発・設計に従事。メモリーセル、高速入出力回路や電源回路などアナログ系の回路を手掛ける。2003年、富士通・AMDによる合弁会社FASL LLCのChief Scientistとなり米国開発チームを率いてReRAM(抵抗変化型メモリー)技術の開発に従事。2007年からSpansion Japan代表取締役社長、2009年には会社更生のため経営者管財人を拝受。エルピーダメモリ技術顧問を経て2011年10月より慶應義塾大学特任教授、2017年4月より同大学の先端科学技術研究センター研究員。技術開発とコンサルティングを請け負うMTElectroResearchを主宰。 プーチン大統領はロシア皇帝になる夢でも見たのだろうか。自分の思いを遂げるべく戦争まで始めてしまったが、最終的に誰の得にもならない
2020年以降、つまり新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染が拡大して以来、半導体不足に陥ったこともあって、世界の半導体工場は増産に次ぐ増産を行っている。世界半導体市場統計(WSTS)によれば、昨年2021年は、出荷額が約5523億米ドル、出荷個数が約1.2兆個と、いずれも過去最高を記録した(図1)。そして、ことし2022年は、出荷額も出荷個数も、それを上回ると予測されている。このように、半導体業界は、ここ数年、過去に例を見ない活況期を迎えていると思われる。 ところが、この活況に“冷や水“を浴びせる出来事が起きた。2022年4月7日にEE Times Japanでも掲載された通り、3月8日に米3Mのベルギー工場が、ポリフルオロアルキル物質(Poly Fluoro Alkyl Substances, PFAS)の一種である、フッ素系不活性液体(登録商標フロリナート)の生産を停止し
半導体ファウンドリー(受託生産)最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は8日、1-3月(第1四半期)の売上高が過去最高を更新したことを明らかにした。半導体不足で販売価格が上昇する一方で、スマートフォンやパソコン、自動車向けの需要が寄与した。 TSMCの資料によれば、1-3月の売上高は前年同期比36%増の4911億台湾ドル(約2兆1100億円)。アナリストの予想平均は4694億台湾ドルだった。 米アップルや韓国のサムスン電子といったメーカーからのスマホやスマートテレビなど製品向け半導体需要の堅調さが続いている。TSMCは月内に1-3月決算を発表する予定。 原題:TSMC Sales Soar to Record on Demand for Smartphones, Cars(抜粋)
そして気になるのは、全ての種類の半導体が、2020年以降(つまりコロナの時代になって)、それまでとは異なる傾きで出荷額が増大していることである。ここに、2021年に建設が着工された29工場の半導体が加算されたら、一体どうなってしまうのだろう? 筆者は特に、Mos Memoryの挙動が気になって仕方がない。というのは、この中に含まれているDRAMの需給バランスが崩れやすく、過去に価格が大暴落し、その影響が自分自身の身に及んだことが多々あるからだ。 例えば、1995年にWindows95の販売の期待感からDRAM価格が高騰し、翌1996年に暴落した。このとき筆者は日立製作所に在籍していたが、この煽りを食らって中央研究所からDRAM工場へすっ飛ばされた。また、2000年にITバブルのピークがあり、2001年にこれが崩壊した。日立は40歳&課長職以上の全社員に早期退職勧告を行い、旧エルピーダメモリ
2月17日、インテルはInvestor Meetingを開催し、ここで製品やプロセス、財務状況に関するアップデートをアナリスト向けに実施した。 今回のミーティングは、特に昨今インテルがIDM 2.0の確立にあたって猛烈に投資(製造設備の拡充や工場そのものの新設)に突っ走っており、その一方で売上そのものは微増(779億ドル→790億ドル)に留まり、粗利率は56%から55.4%に後退、純利益は209億ドル→199億ドルとむしろ減っているという財務状況にあるため、現在の投資が将来の売上や利益にどうつながるかをきちんと財務アナリストなどに説明するための大事な機会である。 当然その核になる部分はプロセスであり、今後の製造プロセスがどこまで順調に量産に向けて進んでいるかをアピールする必要がある。昨年7月、Gelsinger氏がCEOに着任して半年弱というタイミングでIntel Acceleratedと
半導体工業会(SIA:Semiconductor Industry Association)が2022年1月10日(米国時間)に発表したレポートによると、中国は現在、世界半導体売上高全体において台湾を上回るシェアを獲得し、欧州や日本にも迫る勢いを見せているという。ただし、この主張の根拠としてSIAは2020年当時のデータを用いている。 半導体工業会(SIA:Semiconductor Industry Association)が2022年1月10日(米国時間)に発表したレポート「China’s Share of Global Chip Sales Now Surpasses Taiwan’s, Closing in on Europe’s and Japan’s」によると、中国は現在、世界半導体売上高全体において台湾を上回るシェアを獲得し、欧州や日本にも迫る勢いを見せているという。 これは
2022年は、AMD、Intel、NVIDIAのビッグ3がチップの価格を最大20%引き上げる予定であり、エンスージアストや高性能CPU・GPUユーザーにとって本当に悪いニュースで幕を開けようとしています。 AMD、Intel、NVIDIAは、2022年に高性能CPUとGPUの価格を最大20%引き上げる準備を進めている。 DigiTimesの最新レポートによると、AMD、Intel、NVIDIAのビッグ3は、高止まりする出荷コストやファウンドリコストなどの外部要因により、最大20%のチップ価格の引き上げを計画しているとのことです。また、これらはGPUの価格だけでなく、CPUの価格にも影響を与える予定です。 このレポートによると、TSMCは、AMD Ryzen 7000, AMD Ryzen 6000H/U, NVIDIA GeForce RTX 40 & IntelのARC Alchemis
米IBMは12月14日(現地時間)、韓国Samsung Electronicsと協力し、半導体設計の飛躍的進歩を実現したと発表した。「Vertical-Transport Nanosheet Field Effect Transistor」(VTFET)と呼ぶ新たな設計アプローチで、2021年には崩れると見られていたムーアの法則を今後何年にもわたって維持できるようになる可能性があるとしている。 VTFETは、ウェハの表面にトランジスタを重ねるfinFETなどと異なり、トランジスタをウェハに垂直に層状に重ね、電流をウェハ表面に垂直に流す設計。この構造で、トランジスタのゲート長、スペーサーの厚さ、接点サイズの物理的制約を緩和できるとしている。FinFET設計と比較して、「パフォーマンスを2倍向上させ、エネルギー使用量を85%削減する」という。
ベルギーimecは2021年11月、日本向け年次技術紹介イベントである「ITF(imec Technology Forum) Japan 2021」を開催し、日ごろの研究成果と今後の計画を発表した。従来は、都内のホテルで開催されてきたが、コロナ禍を踏まえ、バーチャルオンライン形式で行われた。 図1 ITF Japan 2021の講演の様子 (著者によるスクリーンショット) 「ムーアの法則」は、新構造・材料・3次元化で延命へ 「ムーアの法則」が限界を迎えたという悲観的な指摘がすでに前世紀の終わりごろから出回っている。だが、imecは、半導体産業の成長の原動力ともいえる「ムーアの法則」を終わらせないためにプロセス微細化による集積度の向上に懸命に取り組んできた。そして、2020年に至るまで過去50年以上にわたり「ムーアの法則」は継続していると主張している。今後は、超微細化に加えて、新たなデバイス
韓国Samsung Electronics(サムスン電子)が、次世代トランジスタのGAA(Gate All Around)ベースの3nm世代プロセスを使ったロジックICの量産を2022年上期から始める。21年10月7日にオンライン開催したSamsung Foundry Forum 2021で宣言した ニュースリリース 。台湾TSMC(台湾積体電路製造)や米Intel(インテル)に先んずる。Samsungによれば、FinFETベースの5nm世代プロセスに比べて、チップ面積を35%削減、性能を30%向上、消費電力を50%低減できるという。 Samsung Electronics(サムスン電子)がGAA(Gate All Around)トランジスタベースの3nm世代プロセスによる量産を2022年上期に開始 21年10月7日にオンライン開催したSamsung Foundry Forum 2021で
TSMCが、台湾南部の高雄市に新たに半導体工場を2棟建設する方向で検討していると複数の台湾メディアが報じている。 それらによると、高雄市楠梓区にある台湾中油(=台湾最大手の石油元売り業者)の高雄製油所跡地の一部(26.74ha)を2022年2月に取得し、まず第一期工事として7nm(およびその改良版である6nm)プロセスに対応する300mm工場(月産4万枚)を2024年に竣工し、2025年から量産を開始する計画だという。その後、第2期工事も進め、22/28nmプロセスを用いた月産2万枚(300mm)の工場を2025年に完成させるともしている。 TSMCの製造拠点は、本社のある北部の新竹(シンチュウ)、中部の台中、南部の台南に設置されているが、台南市に隣接する高雄市に建設されれば、台湾内で4拠点目となる。 なお、業界関係者によると、高雄市がTSMCに誘致を働き掛けた結果によるもので、すでに両者
アダマンド並木精密宝石は9月9日、新原理のダイヤモンド結晶成長方法を用いることで、半導体デバイスで求められる品質を実現した2インチダイヤモンドウェハの量産技術を開発したことを発表した。 同社と佐賀大学理工学部の嘉数誠 教授は、これまで共同研究として、ダイヤモンド層の結晶成長の途中で、数μm径で数十μmの長さのダイヤモンドの針(ニードル)を十μm間隔で縦横に並べた層構造を作製することができる独自手法「マイクロニードル法」を開発。1インチダイヤモンドウェハ(商品名:KENZAN Diamond)を製造し、同ウェハ上に、新たな動作原理に基づくダイヤモンド半導体パワーデバイスを作製し、高出力電力特性が得られたことを2021年4月に報告していた。 しかし同手法では、産業応用に必要とされる2インチには届かないことや、マイクロニードル法の製造工程が複雑であるため、製造コストが高くなってしまうことが課題で
サムスン電子が米国のインテルを抜いて世界半導体1位を奪還した。サムスン電子の主力製品DRAM半導体の好況で両社の順位が入れ替わった。 市場調査会社ICインサイツによると、サムスン電子は今年4-6月期の半導体事業の売上高が202億9700万ドル(約2兆2500億円)となり、インテル(193億400万ドル)を抑えて世界トップになった。サムスン電子が四半期別の売上高基準で1位になったのは2018年7-9月期以来11期ぶり。 ICインサイツはDRAMをはじめとするメモリー半導体の価格上昇と需要増加でサムスン電子の4-6月期の売上高が増加したと分析した。メモリー半導体はサムスン電子の主力製品。サムスン電子の今年4-6月期のメモリー半導体売上高は17兆8797億ウォン(約1兆6740億円)と、1-3月期(14兆4349億ウォン)比で24%増加した。 インテルはシステム半導体(非メモリー半導体)の中央処
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