青春時代に聴いた音楽には、その当時のことを思い出す「タイムマシン」のような効果がありますが、その効果は同時代の人物の顔や他の刺激よりも高いことが研究で明らかにされています。米ワシントン・ポスト紙は、音楽で記憶がよみがえる理由について特集しています。 また同紙では、アルツハイマー病の人が、子供の頃のことは思い出せても、昼食に何を食べたか、昨日誰に会ったかは思い出せない理由についても紹介しています。同紙は一例として、2019年に亡くなった海洋生物学者のキャロル・ハワードを紹介しています。彼女はアルツハイマー病が悪化すると夫が分からなくなることがしばしばありましたが、1960年代のサイモン&ガーファンクルの楽曲の歌詞を苦もなくすべて歌うことができたそうです。 音楽が鮮明な記憶を呼び起こすこの能力は、脳の研究者にはよく知られた現象です。音楽は、何年も前の強烈な記憶を、多くの人にとって、味覚や嗅覚と