木田元の最終講義 反哲学としての哲学 (角川ソフィア文庫) 作者: 木田元出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング発売日: 2008/05/24メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 6回この商品を含むブログ (18件) を見る 木田元「ハイデガーを読む」(in 『木田元の最終講義 反哲学としての哲学』、pp.9-61)*1から。 むろん私も最初は、『存在と時間』を実存哲学の書として読み、そこにわが身一つをいかにすべきかの答えを求めようとしていていました。当時はこれがこの本の普通の読み方で、私もそうした読み方をしていたことになります。 しかし、そんなつもりで読むと、この本にはいささか期待を裏切られます。そうしたことなら、キルケゴールの方がずっと切実なのです。それに比べると『存在と時間』にはどこか形式的なところがあります。それに、論理が違うのです。キルケゴールはつねに「あれかこれか」