「ワビ」「サビ」など、難解でわかりにくいと思われがちな日本文化。その核心にはなにがあるのか、「濃い日本(ディープ・ジャパン)」の特色とはなにか。日本文化に精通した「知の巨人」松岡正剛氏が語る。 日本文化としての「たらこスパゲッティ」 1970年代のおわりのころだと思いますが、渋谷の「壁の穴」という小さなお店で「たらこスパゲッティ」を初めて食べたとき、いたく感動してしまいました。バターとたらこでくるめたパスタに極細切りの海苔がふわふわと生きもののように躍っている。それをフォークではなく箸で食べる。なにより刻み海苔がすばらしい。よしよし、これで日本はなんとかなる、そう確信したものです。そのうち各地の小さなラーメン屋が独特ラーメンを次々につくりだした。 まもなくコム・デ・ギャルソンやイッセイやヨウジがすばらしいモードを提供しはじめました。世界中にないものでした。また井上陽水や忌野清志郎や桑田佳祐