トヨタ自動車が、播磨科学公園都市の大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県佐用町)に、燃料電池車の本格的な実用化を目指して、専用の研究施設を設けることが十八日、分かった。世界最高性能といわれる明るい光を使った分析装置をフル活用。次世代の環境対応車として期待され、世界中の自動車メーカーがしのぎを削る燃料電池車の開発競争に先べんをつけたい意向だ。 スプリング8に企業が単独で専用ビームライン(放射光の取り出し口)を設けるのは初めて。「豊田ビームライン」と名付け、燃料電池の触媒などを研究する。 二〇〇八年度にも着工し、トヨタグループの基礎研究を手掛ける豊田中央研究所(愛知県長久手町)が運営する。ビームライン建設には通常十億-二十億円かかるが、トヨタはこのほかに関連設備などを整備する計画。 トヨタはこれまでにも、ほかの企業と共同でスプリング8で研究を行っており、排ガスを浄化するための触媒を実用化した。