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ブックマーク / book.asahi.com (75)

  • 「江戸の憲法構想」書評 幕末の知識人たちが描いた未来|好書好日

    「江戸の憲法構想」 [著]関良基 日が近代化できたのは、明治維新があったおかげ。幕府は封建制にすがるだけの守旧派だった。いまも世に流通するそんな見方に、一撃を加えるのが書である。 幕府のために建白書を書いた知識人らに焦点を当て、その「憲法構想」ともいえる内容を一つひとつ検討する。そしてこう問いかけるのだ。明治維新なしでも、日は十分、近代国家になりえたのではないか。もっとましな近代国家に。 俎上(そじょう)にのぼるのは6人で、なかでも信州上田藩士の赤松小三郎は知られざる逸材かもしれない。幕府にも薩摩藩にもパイプを持つ人で、武力によらない体制変革を訴えていたという。建白書は庶民にも参政権を認めるような内容で、法の下の平等を保障するような記述もある。その発想のもとには儒教があるというのも興味深い。 ほかの建白書起草者は将軍側近や会津藩士、漂流民など。それぞれ強みや限界があるが、共通するのは

    「江戸の憲法構想」書評 幕末の知識人たちが描いた未来|好書好日
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    advblog 2024/06/08
  • 鴻巣友季子の文学潮流(第14回) 「関心領域」映画・原作が問いかける「悪」との向き合い方|好書好日

    原作はダーク・コメディ風 アカデミー賞国際長編映画賞を受けたジョナサン・グレイザー監督の「関心領域」が一般公開され、話題を呼んでいる。 アウシュヴィッツ強制収容所所長(司令官)ルドルフ・ヘス一家の”平凡な”暮らしを描きだす。壁一枚隔てた隣には、ユダヤ人がガス室で虐殺されてく収容所があり、焼却炉の煙が立ち昇り、悲惨な叫び声が響いてくる。囚人らの発するイディッシュにはあえて日語字幕を付けていないので(*試写時)、この言語を解さない(私も含む)耳には、音が不穏さを醸しながらも意味を持たず通過していくだろうと思った。まさにヘス一家の耳にそうであったように。 ヘス家の邸宅にはが丹精した庭があり、草花が咲き誇り、友人や子どもたちが集まってピクニックをする。隣の収容所で起きることは、まるで彼らのzone of interest(関心や利害の範囲)にない。 子どもたちと川で泳いでいたヘスが狂ったように

    鴻巣友季子の文学潮流(第14回) 「関心領域」映画・原作が問いかける「悪」との向き合い方|好書好日
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    advblog 2024/06/05
  • 世界17ヵ国で翻訳・出版の話題のバンド・デシネ『LA BOMBE 原爆』著者インタビュー【前篇】——広島への原爆投下までを克明に描く|じんぶん堂

    じんぶん堂TOP 歴史・社会 世界17ヵ国で翻訳・出版の話題のバンド・デシネ『LA BOMBE 原爆』著者インタビュー【前篇】——広島への原爆投下までを克明に描く 記事:平凡社 1945年8月6日、広島に原子爆弾が投下された。原爆ドーム(当時は広島県産業奨励館)が激しく燃え上がる。 書籍情報はこちら 『LA BOMBE 原爆』(上下巻、脚=ディディエ・アルカント、L.-F.ボレ、絵=ドゥニ・ロディエ、翻訳=大西愛子・平凡社) 日で刊行されるという意味 写真左より、脚を担当したディディエ・アルカント、L.-F.ボレ、絵を担当したドゥニ・ロディエ。 ボレの写真のみ© Fab Jouss ——この7月、日で『LA BOMBE 原爆』(上下巻)が刊行されます。日は世界で唯一の被爆国です。日で刊行されるにあたり、現在、どのようなお気持ちでしょうか。 ディディエ・アルカント(以下、アルカン

    世界17ヵ国で翻訳・出版の話題のバンド・デシネ『LA BOMBE 原爆』著者インタビュー【前篇】——広島への原爆投下までを克明に描く|じんぶん堂
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    advblog 2023/09/06
  • 重版未定本の復刊を実現、売り切った書店員の情熱:書泉グランデ・大内学さん|じんぶん堂

    記事:じんぶん堂企画室 「書泉グランデ」書店員・大内学さん 書籍情報はこちら 『中世への旅 騎士と城 』の魅力 の街・神保町に店を構える「書泉グランデ」は、1948年(昭和23年)創業の老舗書店。鉄道、アイドル、格闘技をはじめとした趣味人向けの専門性の高い書籍を網羅的に取り揃えている。 今回、重版されたのは『中世への旅 騎士と城 』(白水uブックス)(著者:ハインリヒ プレティヒャ、翻訳:平尾浩三)。中世ヨーロッパの騎士たちの日常生活などを、豊富なエピソードをまじえてわかりやすく解説している。日では1982年に翻訳刊行され、2010年に白水uブックスで復刊された。大内さんが同書に出会ったのは、中学生時代だったという。当時、初めて読んだ感想を次のように語る。 「ゲームライトノベルの多くが中世ヨーロッパの世界を下敷きにしていました。例えば、友達同士で会話しながら遊ぶボードゲーム・テーブル

    重版未定本の復刊を実現、売り切った書店員の情熱:書泉グランデ・大内学さん|じんぶん堂
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  • 「君たちはどう生きるか」宮崎駿監督が、新作映画について語っていたこと。そして吉野源三郎のこと|好書好日

    宮崎駿監督の新作「君たちはどう生きるか」ポスター=スタジオジブリのTwitterより 「私自身、訳が分からない」 「おそらく、訳が分からなかったことでしょう。私自身、訳が分からないところがありました」。 2023年2月下旬、東京都内のスタジオで上映された、「君たちはどう生きるか」の初号試写。米津玄師の歌うピアノバラードが流れ、エンドロールが終わった瞬間、灯りが点き、宮崎駿監督のコメントが読み上げられた。 客席から軽い笑い声が漏れた。私もその一人だった。あまりの展開の速さと、盛り込むだけ盛り込まれた情報を消化しきれず、茫然と座り込んでいたが、その言葉で我に返った。 これは「宮崎アニメ」の集大成なのか、吉野源三郎の著書『君たちはどう生きるか』の再解釈なのか。とにかく、1回見ただけではとても全容を把握できなかった。 「自分のことをやるしかない」 今回の作品は、公開前のプロモーションも、メディア関

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    advblog 2023/07/14
  • 特別公開:坂本龍一さん3万字インタビュー前編「音楽の大きなテーマは、亡くなった者を悼むということ」|じんぶん堂

    記事:平凡社 坂龍一さん(2013年5月撮影) 撮影:榎佳嗣 書籍情報はこちら バッハの「マタイ受難曲」を聴くと、まさに「音楽に救われる」という感じがする ――東日大震災と原発事故はだれしもにとってたいへんショッキングなできごとだったと思います。坂さんはどうお過ごしでしたか。 坂龍一:うーん……、直後はやっぱり、音楽を聴く気になれませんでした。 ――音楽家の方でも、音楽が聴けなくなるんですか。 坂:ええ、(音楽家には)きっとそういう人は多いと思いますよ。それで、ずいぶんと経ってから……、ひと月ほど経ってからかな、やっと聴いてみようかなと思ったのは。 ――そのときに、慰めや励ましになったもの、あらためて立ちかえったものってありますか。 坂:それは、やっぱりどうしてもバッハの「マタイ受難曲」です。僕のまわりの音楽好きでも同じようにいう人は多いけれど、やっぱり特別な曲ですね。「また

    特別公開:坂本龍一さん3万字インタビュー前編「音楽の大きなテーマは、亡くなった者を悼むということ」|じんぶん堂
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    advblog 2023/04/07
  • 爆笑問題・太田光さん「笑って人類!」インタビュー ダメ総理が世界平和に大活躍? 11年ぶり長編小説|好書好日

    太田光(おおた・ひかり) 1965年、埼玉県生まれ。漫才師。1988年に田中裕二とお笑いコンビ「爆笑問題」を結成。ネタ作り担当。2010年に『マボロシの鳥』で小説家デビュー。『文明の子』『違和感』『芸人人語』など著書多数。 「そのうちなんとかなるだろう」 ――この小説は、世界戦争、無人兵器、震災、原発事故、SNS上の誹謗中傷など、時事ネタが散りばめられています。いつ頃書かれたのでしょうか。 実は、結構前なんだよね。最初は映画の企画で、ズッコケダメ総理が世界を引っ掻き回す喜劇を作ろうと思って。2年かけてシナリオにして、それが通らなくて、また2年かけて小説にして。コロナ禍になる前には書き終わっていたかな。 ――えっ! ロシアウクライナ侵攻の前なんですね。大事な和平会議に遅刻した主人公の富士見総理は、民衆から「マイルドテロ」という名のもとに大量の卵を投げつけられます。このシーンは、昨年(202

    爆笑問題・太田光さん「笑って人類!」インタビュー ダメ総理が世界平和に大活躍? 11年ぶり長編小説|好書好日
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    advblog 2023/03/07
  • 「インディペンデントの栄光」書評 映画界を長年引っ張る懐の深さ |好書好日

    「インディペンデントの栄光」 [著]堀越謙三 [構成]高崎俊夫 「これほど多種多様な外国映画が、ローカルでも上映されている国は、実は世界でフランスと日しかないんですよ」。そんな映画大国の首都でミニシアター「ユーロスペース」を長年経営してきた堀越謙三さんが、名編集者の高崎俊夫さんの質問に答える形で自らの人生を振り返っている。 1970年代の岩波ホールを先駆に、80年代にはセゾンや東急などがアート映画をかけるミニシアターに参入。東京は世界に冠たる映画都市になる。堀越さんもその立役者の一人。ユーロスペースは書のタイトルの通り、インディペンデントとして大企業系のミニシアターに伍(ご)してきた。 彼の業績は劇場だけではない。自ら外国映画を買い付けて配給。アッバス・キアロスタミら世界的監督の映画を製作。さらには映画美学校や東京芸大大学院映像研究科の設立に関わり、濱口竜介監督らを育ててきた。インディ

    「インディペンデントの栄光」書評 映画界を長年引っ張る懐の深さ |好書好日
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    advblog 2022/10/15
  • 作家・柳美里さんが福島につくった本屋「フルハウス」 絶望した人の「魂の避難場所」に|好書好日

    文・写真:土井大輔 柳美里(ゆう・みり)小説家、劇作家 1968年、茨城県土浦市生まれ。高校中退後、ミュージカル劇団「東京キッドブラザース」を経て、87年、演劇ユニット「青春五月党」を結成。93年、『魚の祭』で第37回岸田國士戯曲賞を最年少で受賞。96年、『フルハウス』で第18回野間文芸新人賞、第24回泉鏡花文学賞を受賞。97年、『家族シネマ』で第116回芥川賞を受賞。2020年、『JR上野駅公園口』で全米図書賞(翻訳部門)を受賞。15年から福島県南相馬市に居住。18年4月、南相馬市小高区の自宅でブックカフェ「フルハウス」をオープン。 福島県南相馬市は南北に長く、南は東京電力福島第一原子力発電所が立地し「警戒区域」となった双葉郡と接しています。そのため、東日大震災では津波だけでなく、原発事故による放射能汚染の被害も受けました。震災から10年が経とうとしている今も、市内には放射線量が高い「

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    advblog 2022/10/01
  • 双子のライオン堂(東京) 100年残したい選書を並べ、赤坂の地で考える「100年続く本と本屋」|好書好日

    これまで何度か「屋がある思い出の街」について書いてきたけれど、思い出というものは決して良いばかりではない。トラウマとセットになっている街も、当然ある。私にとってそれは、赤坂だった。 ドキュメンタリー番組が作りたい一心で試験をかいくぐり、意気揚々と入社した会社の分室があった。しかしいざ入ってみると仕事は多忙を極め、先輩は皆怖くて、私は仕事が全くできずどうしていいのかわからないまま、1年でリタイアした。 そんな痛いばかりの赤坂を、以来私はなるべく避けていた。だから双子のライオン堂に行くのも、若干の勇気がいった。 久々に赤坂駅から乃木坂方向に歩く。しばらくぶりに来たから、先輩に深夜無理やり連れていかれた中華料理屋が今も存在していたのには、ちょっと笑ってしまった。 「」の文字が屋であることを主張している。 その店の角を氷川神社方向に曲がると、かつての職場がある。スルーしてさらに進んでいくと、

    双子のライオン堂(東京) 100年残したい選書を並べ、赤坂の地で考える「100年続く本と本屋」|好書好日
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    advblog 2022/06/17
  • 豊田利晃監督が自伝「半分、生きた」を刊行 「映画館は世界の広場。みんなもっと来てほしい」|好書好日

    文:福アニー、写真:有村蓮 豊田利晃(とよだ・としあき) 1969年生まれ、大阪府出身。91年、阪順治監督「王手」の脚を手がけ、映画界入りを果たす。98年に「ポルノスター」で監督デビュー。主な作品に「青い春」「ナイン・ソウルズ」「空中庭園」「モンスターズクラブ」など。「ライブシネマ」と銘打った舞台の演出をしたり、中村達也・勝井祐二・照井利幸との音楽ユニット「TWIN TAIL」で活動したりもしている。2019年7月から新作映画「狼煙が呼ぶ」を公開、同年9月には自伝『半分、生きた』をHeHeより刊行した。20年、小笠原諸島を舞台にしたドキュメンタリー映画「プラネティスト」公開予定。 映画のためになるならなんでもやりたい 傍から見ても山あり谷ありの人生を、半分、生きた。まずはここまで生きると思っていたか、率直な気持ちを聞いてみた。 「ここまで長生きするなんて想像できなかったし、やっぱり若い

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  • 都立大学・山下祐介教授「地域学入門」インタビュー 地域を知ることは、自分を知ること|好書好日

    東京都立大の山下祐介教授。「若い人は地域のおじいちゃん、おばあちゃんに遠慮なく話を聞くといい」と語る=東京都八王子市 都市化進み 見えにくい成り立ち 東北学、信州学、水俣学など、地域の名前を冠した学問が各地にある。この秋『地域学入門』(ちくま新書)を出した東京都立大学の山下祐介教授(52)は、足元の地域を知ることで自分を知ろうと呼びかける。11月には、大学の公開講座で高校生向けに講義もした。なぜいま地域学なのか。 山下教授は専門の社会学の立場から、国家と地方の関係、限界集落の問題などについて論じてきた。一方で、17年在籍した弘前大学(青森県)時代から、「津軽学」「白神学」に関わっている。 歴史文化を掘り下げて地元の魅力を再認識するものや、地域の負の遺産を検証し教訓を伝えようとするものなど、地域学は大学や市民講座などを拠点に全国各地に存在する。東北は、民俗学者の赤坂憲雄さんが提唱した「東北

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    advblog 2022/01/01
  • 音楽家・星野源さんと琉球大学教授・上間陽子さんが対談 沖縄の問題も選挙も、「普通」から発信|好書好日

    外山俊樹撮影 沖縄の強い想いに突き動かされた/星野源 『海をあげる』は、教育学者の上間が、自身が調査・支援している若年出産する少女たちのことや、土砂が投入される辺野古の海のことを、暮らしの延長線上でつづる。沈黙を余儀なくさせられている人々のかすかな声と思いが浮かび上がるエッセーだ。 星野 「僕は20代のころ、沖縄居酒屋でアルバイトしていた経験から、勝手に沖縄との縁を感じていました。でもを読んで、沖縄の現状やそこで暮らす人の想(おも)いに改めて気付かされました。上間さんは、感情的に訴えるのではなく、現実を丁寧に描写し、淡々と描く中で、人の想いを伝える。行間から上間さんの強い怒りや想いが伝わってきて、突き動かされました」 上間 「ありがとうございます。土の人に伝わるよう、書き方や章の並び順をかなり考えました」 星野 「沖縄で暮らす少女たちの支援もされていますよね」 上間 「そうなんです。1

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  • 「人文主義の系譜」 知の積み上がりを一枚ずつ剝ぐ 朝日新聞書評から|好書好日

    「人文主義の系譜」 [著]木庭顕 わたしは、おそらくは木庭顕の良い読者ではない。 何度挫折したか。木庭は受け手の可能性を信じるから、手加減しない。例えば、『政治の成立』に始まる三部作では、古代ギリシャ・ローマの古典全般の素養は当然の前提だ。木庭は、師のレーポレについて書で「極めて難解であり、読者を不安に陥れることしか考えていないのではないかと疑われるほど」と語るが、師だけではない。 だが、木庭の作品には、周到な未完のミステリーを読み解くような魅力がある。読者は、法や政治のエッセンスが分かった、いや取り逃がした、という読書体験を繰り返しながら思索に誘われる。文章は鋭利で、文体には中毒性がある。だから、試験勉強に飽き足らぬ学生たちを夢中にさせてきた。 書も難解だが狙いは明確だ。 政治・デモクラシー・法が「目の前で脆(もろ)くも崩れ去る、一向に定着しない、という現実」。これらを支える基礎はな

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  • 「Life Changing」書評 直接的介入と環境激変の終着駅|好書好日

    LIFE CHANGING ヒトが生命進化を加速する 著者:ヘレン・ピルチャー 出版社:化学同人 ジャンル:生命科学・生物学 「Life Changing」 [著]ヘレン・ピルチャー 少々トリッキーな質問から始めよう。いま地球で最も繁栄している鳥は何か。カラスかハトか? 答えはニワトリだ。書によれば、世界に220億羽いて、人類で山分けしても1人3羽。数として世界で最も多い鳥類だという。哺乳類全体のバイオマスの96%をウシやブタといった家畜とヒトで占め、野生種は4%に過ぎないという衝撃のデータも紹介される。 未来の地質学者が、今やすっかり市民権を得た「人新世」(人類が地球に大きな影響を与えた時代)の地層を調べても野生動物の化石は見つからない。代わりに、それまで存在しなかったニワトリという鳥類がこの時代に劇的な「進化」を遂げたことに注目するだろう。なにしろ、この60年間だけでも、ももや胸の筋

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  • 喜劇評論の金字塔「日本の喜劇人」が半世紀を経て新装 志村けん、大泉洋らを加筆|好書好日

    喜劇評論の金字塔とされる、作家・小林信彦さんの『日の喜劇人』が刊行から半世紀を経て、『決定版 日の喜劇人』(新潮社)として新装発売された。榎健一(エノケン)、森繁久彌、渥美清、萩欽一ら、コメディアンの個性や芸風を縦横に論じ、後の喜劇界に大きな影響を与えた評論。原著が出た1972年当時、他の芸能文化より一段低く見られていたお笑い文化について、東京の下町生まれの小林さんが「見て確かめてきた」喜劇人を活写した貴重な記録でもある。 久しぶりに記者会見の場に臨んだ小林さんは「はじめに書いた時は、みな現役だったんですよ。でも、つきあっていた人たちが次々と亡くなってしまって……。時間がたてばたつほど、若い世代にはわからなくなっていくから、一言二言加えておきたかった」と話す。 『決定版』は、特に思い入れの深い植木等、藤山寛美、伊東四朗について掘り下げた『日の喜劇人2』との合版。細かい加筆修正を

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  • 「秋山邦晴の日本映画音楽史を形作る人々/アニメーション映画の系譜書評」 70年代の名作、具体的に実証|好書好日

    秋山邦晴の日映画音楽史を形作る人々/アニメーション映画の系譜 マエストロたちはどのように映画の音をつくってきたのか? 著者:秋山邦晴 出版社:DU BOOKS ジャンル:芸術・アート 「秋山邦晴の日映画音楽史を形作る人々/アニメーション映画の系譜」 [著]秋山邦晴 [編]高崎俊夫、朝倉史明 「七人の侍」など、黒澤映画音楽で知られる早坂文雄が「十八世紀はオペラの時代、十九世紀がバレエの時代とすれば、やはり二十世紀は映画の時代でしょう」と述べている。 考えてみれば、「映画音楽の名作」は20世紀にほぼ出尽くしている。ポピュラーだというだけではない。芸術としてもそうだ。現代音楽の先頭走者たちが娯楽映画にも先鋭的な音楽を提供していた。 書は音楽評論家の秋山邦晴が1970年代、キネマ旬報に連載した文章をまとめたもの。早坂を始め、伊福部昭や武満徹ら多くの作曲家へのインタビューを絡めた評論になって

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    advblog 2021/05/08
  • 首都圏「ひとり本屋」6店 店主のこだわり空間で「掘り出し本」に出会えるかも|好書好日

    西荻窪「屋ロカンタン」 萩野亮さん。ロカンタンはサルトルの『嘔吐』の主人公の名前だが、英語ではなく響きが「文学的」で「奇天烈」なところが気に入っていると語った。 JR西荻窪駅南口の、商店や住宅が立ち並ぶ一角にある店は、なんと店主・萩野亮さんの自宅マンションの一室でもあります。「閉店後は平台を移動させたスペースに、布団を敷いて寝てます。生活感がない部屋ですねと言われますが、生活らしい生活が私にはありませんから」 紆余曲折の末、屋を開くに至った萩野さん。「わたしが実践しているのは、『私的所有の放棄』です。マイホームもマイカーも要らない。雨風がしのげて、眠れる場所があればいい。こたつがあればなおいい。自宅を屋として社会に開く。蔵書を手放して、代わりに新刊を商う。そうして日々、お客さんを迎える。それだけでいいんです」 屋ロカンタン(東京) 自宅の一室が屋。38歳店主の、山あり谷あり人生

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  • 「出版と権力」書評 大衆動かす雄弁 揺さぶる国家|好書好日

    出版と権力 講談社と野間家の一一〇年 [著]魚住昭 「名を摑(つか)まんか。金を摑まんか。庶幾(こいねがわ)くは両者共に摑まん」。後に講談社を創業する野間清治(せいじ)が、友人宅二階に住みこみ、自室のふすまに墨筆で書いた言葉だ。 常に大衆を意識する清治の野心が、創業一一〇年を迎えた出版社の始まりであり、そして、現在でもある。「とにかく抜き出た偉いものになってみたい」という立身出世への欲が、豊かな出版活動を生んだ。 講談社に眠っていた約一五〇冊の秘蔵資料を読み解きながら、戦前・戦中・戦後と、言葉を求められ、伝え、奪われ、取り戻した講談社と野間家の変遷を追う。 一九一〇年に創刊した雑誌「雄弁」の発刊の辞で「雄弁衰えて正義衰う。雄弁は世の光りである」と述べた清治は、同時に「宣伝狂」でもあり、「金さえできたら宣伝しようぞ」と考えてもいた。「少年倶楽部」で語った「必ずしも中等学校に入らなくとも、偉く

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    advblog 2021/03/20
  • 「戦後教科書運動史」書評 「生き字引」が記す重要な問題|好書好日

    戦後教科書運動史 [著]俵義文 半世紀以上にわたりライフワークとして教科書問題に取り組んできた「生き字引」である著者が、戦前の国定教科書から最新の学習指導要領まで、重要なトピックをなで斬りにしたものが書である。その分厚さは、著者の人生そのものを映し出している。 著者によれば、大学の教職課程では教科書の歴史やしくみについてほとんど教えられていなかったため、いくつかの大学で非常勤講師として教鞭(きょうべん)をとるようになったことが書をまとめる契機になったという。 現職の教員も、教員を目指す人も、日々の学校現場での営みから切り離せない教科書が日でどのような現状にあるのかを知らないで良いわけがないだろう。 直近の関心からは、教育法の変更について取り上げた第11章から、著者の提言をまとめた第15章までだけでも読むべきである。日の教科書が、世界でも例をみないほど遅れた制度であるという記述が

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    advblog 2021/02/27