中越地震の避難生活から約3年2カ月ぶりに新潟県長岡市の故郷に戻り、「除夜の鐘」を打ち鳴らす住民ら。ふるさとの原風景だ=2007年12月31日、根本太一撮影 せちがらい世の中だから……。そう嘆くしかないのか。除夜の鐘は「うるさい」、餅つきは「食中毒が心配」--として、年末年始の風物詩が今、自粛や中止を迫られている。「健康への配慮なら仕方ない」との声もある。だが、伝統や文化は廃れてしまわないか、懸念も消えない。【宇田川恵】 「日本人の心がここまでひねくれてしまったのかと思うと、あぜんとします。除夜の鐘は年1回。それすら我慢できないなんて、自分勝手すぎます」と憤るのは、エッセイストの安藤和津さん(68)だ。安藤さんは教育や食の問題に関心が高いが、最近の動向に我慢ならない様子。「餅つきで食中毒が怖いなら行かなければいい。主催者側も腰が引け過ぎです」 矛先を向けるのは、各地でじわじわ広がる除夜の鐘や