さまざまな研究室を訪問してサイエンスの現場をリポートする「ブルーバックス探検隊が行く」。今回は昆虫の「性」までコントロールするという細菌を通じて、「共生」という不思議な現象を研究している、産業技術総合研究所の深津武馬さんに登場していただきます(取材・文/永幡嘉之)。 (前回までの内容はこちらから) 宿主のオスはいないほうがいい 共生細菌についての深津さんの研究は、アブラムシから始まり、前回(現代ビジネス「細菌がいないと「フニャフニャ」に!? 昆虫と細菌の不思議な関係」http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54428)で述べたカメムシ、さらにはカイガラムシ、ゾウムシ、そしてシラミに至るまで、さまざまな昆虫に広がっていった。多くの場合、昆虫と細菌との共生は一対一の関係で進化が進んでいく。 共生細菌は昆虫の体内での特定の働きに特化して、限界まで他の機能を減らして