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  • 名人農家が教える有機栽培の技術

    SHINICHIRO HONDA 昨年から、新井俊春さんに無理を言ってお願いして、書いていただいたがようやく発行できることになりました。新井俊春さんは、1955年に群馬県甘楽町の農家に生まれ、30代のころから有機農業に取り組んできました。施設トマト、露地野菜などで、高い有機栽培の生産技術を有し、甘楽町有機農業研究会の代表も務めています。甘楽町有機農業研究会は、2010年日農業賞の架け橋賞優秀賞、2014年環境保全型農業推進コンクール最優秀賞など受賞しています。 『名人農家が教える有機栽培の技術』 発売 2019年8月10日 新井俊春 著 発行 月曜社 税込価格 2,916円(体価格 2,700円) 四六版 304ページ 巻頭カラー写真 76枚 文写真(白黒) 約200枚 図データ 38 表データ 49 これほど詳細で実践的な有機栽培の技術は、これまでに、なかったと思います。有

    名人農家が教える有機栽培の技術
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    agrisearch 2019/07/10
    新井俊春氏、甘楽町有機農業研究会代表。
  • カッコウとスズメ目の変異の共振による進化的な安定

    SHINICHIRO HONDA Evolutionary stability with mutation resonance of Cuckoo and Passeriformes 片利片害の代表的な例として、カッコウの托卵がある。托卵は英語では、brood parasitism(抱卵寄生)なので、寄生の形態のひとつと考えられている。 カッコウ目にはカッコウ科しかなく、カッコウ科は、5亜科に分けられている。托卵行動が顕著なのはカッコウ亜科である。カッコウ亜科には、カッコウ属、ジュウイチ属、アメリカカッコウ属などが存在する。カッコウやホトトギスはカッコウ属である。カッコウ属のヒナは、宿主の卵やヒナを巣から落としてしまうが、他の属では、宿主のヒナと一緒に育つとされている。 カッコウは、広域に移動する渡り鳥であり、夏はヨーロッパやアジアですごし、冬はアフリカで暮らす。体長は30cmほどで、その

    カッコウとスズメ目の変異の共振による進化的な安定
  • 栽培オオムギの起源:Origin of domestic barley

    大原農業研究所(現在の岡山大学資源植物科学研究所)の高橋隆平氏(1910-1999)が、栽培オオムギは、西域型(W型)と東亜型(E型)に大別できることを見出したことは書いた(2018.2.13ブログ)。高橋氏らは、オオムギの脱粒性には、2つの遺伝子が関与しており、2つが同時に働くと脱粒性(野生型)となり、どちらか一方が欠けると非脱粒性(栽培型)になることをあきらかにした。 脱粒に関与する2つの遺伝子は、Btr1、Btr2と名づけられている。下図のように、野生オオムギは、Btr1、Btr2の両方が機能することで、小穂がバラバラになって落ちる。一方、栽培オオムギの対立遺伝子は、野生型と遺伝的に異なるbtr1、btr2であると考えられている。W型では、遺伝子の組み合わせがbtr1-Btr2となり、E型では、Btr1-btr2の組み合わせになっている。(*1) (参考:麦の自然史) 前回のブログで

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  • 進化論と遺伝学:Evolution theory and Genetics

    SHINICHIRO HONDA ダーウィンは、『種の起源』(1859)の第1章で、変異の法則について次のように述べる。 Perhaps the correct way of viewing the whole subject would be, to look at the inheritance of every character whatever as the rule, and non-inheritance as the anomaly. The laws governing inheritance are for the most part unknown; no one can say why the same peculiarity in different individuals of the same species, or in different species,

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  • 栽培植物の起源神話:Myths about the origin of cultivated plants

    SHINICHIRO HONDA 世界に存在する栽培植物の数は、花卉類を除いて1500種以上と言われている。イネ、コムギ、オオムギなど、栽培の歴史が長い作物では、品種の数が1万以上あり、栽培植物の品種の総数は、数十万におよぶ。また、植物だけでなく、イヌ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ニワトリなどの家畜やミツバチ、カイコなどの飼育昆虫も存在する。 野生の植物から、栽培種を作り出すのは、簡単なことではない。もっとも基的な育種の方法は、植物の中から、目的にあった性質の個体を選択し、その種を播いて選択を繰り返す方法である。目的の性質とは、用の栽培植物の場合では、用部位が大きい、美味、子実が脱落しない(非脱粒性)、毒性がないなど、多岐にわたる。偶然に起きるこれらの突然変異を長期間にわたって積み重ねることで、栽培種が成立する。野生のムギやイネが、栽培種に置き換わるには、数千年もの時間がかかった

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    agrisearch 2018/02/13
    2017/11/22
  • 農耕の起源と進歩主義・進化主義:Origin of agriculture and progressivism・evolutionism

    SHINICHIRO HONDA 農耕の起源をめぐる論争 農耕の起源をめぐっては、昔から激しい論争が交わされてきたし、現在も続いている。洋の東西を問わず、人間の社会は「野蛮」「未開」から「文明」に向かって「進歩」「発展」するという価値観と、それと反対の意見が存在する。人類学の分野でも、実証的な議論だけでは話が済まず、「人種」、「民族」、「宗教」、「文化」、「倫理」など、人によって立場や見解が異なる価値観が入り込む。 農耕の起源をめぐって、もっとも重要な学説の一つに、ゴードン・チャイルド(1892-1957)の「新石器革命」がある(文献1)。チャイルドの新石器革命論は、考古学、歴史学、言語学などの人類学に大きな影響を与えた一方で、強い反対意見がある。たとえば、ベストセラーになった、ジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』(1997)では、農耕の起源について長々と書いているにもかかわらず、チ

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    agrisearch 2018/02/13
    2017/12/3
  • 日本の農学者たちの研究

    その後、坂村は、ヨーロッパへ留学し、帰国して北海道帝大教授に就任した。1941年に、名著といわれた『植物生理学』を著し、後継の研究者に大きな影響を与えた。 坂村が留学したために、木原が、コムギ研究を坂村から引き継ぐことになった。京都大学に移った木原は、染色体数の異なるコムギをかけあわせて雑種をつくり、その染色体数の変化を調べた。1930年に、コムギは7の染色体セットが完全な形でそろっているときに、最小限の遺伝的機能を果たしていることを発見し、「生物をその生物たらしめるのに必須な最小限の染色体セット」を「ゲノム」(genome)と名づけた。 1944年に、二粒系コムギ(2n=18、AABB)と、タルホコムギ(2n=14、DD)が交雑して、普通系コムギ(2n=42、AABBDD)になったことを解明し、終戦後の1948年には、じっさいにタルホコムギとマカロニコムギを掛け合わせて、パンコムギを作

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    agrisearch 2018/02/13
    コムギの起源、イネの起源、オオムギの起源、アブラナ属の起源、中尾佐助の『栽培植物と農耕の起源』
  • ブドウの縮果症と光呼吸、窒素過剰

    SHINICHIRO HONDA 栽培ブドウ(ヴィニフェラ種)の野生種は、中東からヨーロッパにかけて自生しているが、ヴィニフェラ種が最初に栽培化されたのは、コーカサス山脈の南方と考えられている。イラン北部では紀元前5000年のワインを入れた壺が出土しており、アルメニアでは、紀元前4000年のワイン醸造所の遺跡が発見されている(文献1)。最古のものとしては、ジョージア南東部の新石器時代の遺跡から、ワインを入れたらしき紀元前6000年ごろの壺が出土している。 マスカット・オブ・アレキサンドリアは、古来より北アフリカで栽培されていたブドウ品種とされており、ローマ時代には、エジプトのアレキサンドリアから出荷されたと伝えられている。もともと、地中海地方では、ブドウは栽培されていなかった(トゥキディデス)ので、東方から導入された栽培ブドウから派生した品種と考えられる。 きわめて古い栽培品種であるため、

    ブドウの縮果症と光呼吸、窒素過剰
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    agrisearch 2017/07/04
    「栽培ブドウ(ヴィニフェラ種)は、夏季少雨乾燥地帯が起源…夏季多雨多湿地帯の日本で栽培した場合…ブドウの縮果症は、枝葉や果実が急生長する時期に、生育のブレーキが働くのが根本的な原因ではないだろうか」
  • 米ぬかの効果―作物の窒素吸収を断つ

    SHINICHIRO HONDA 前回、露地栽培では窒素吸収を制限することは困難であると書いた・・・。 農家のあいだでは、米ぬかを田畑に施用すると、作物の味がよくなったり、病害虫に侵されにくくなったりするといわれている。ただ、どうして米ぬかにそのような効果があるのかは、わかっていない。 理由の一つとしてあげられるのは、米ぬかの機能性成分である。米ぬかに含まれる成分には、γ-オリザノール、フェルラ酸、ステロール、ワックス、グルコシルセラミド、トコトリエノール、フィチン、フィチン酸、イノシトール、米ぬかタンパク質など、多くの成分がある。γ-オリザノールは、心身症の抑制や血中コレステロールを低下させる作用が報告されており、フェルラ酸には軽度で高齢発症のアルツハイマー病患者の症状を改善する効果が発見されている。トコトリエノール、フィチン酸、イノシトールにも、多くの機能性作用が確認されている(文献)

    米ぬかの効果―作物の窒素吸収を断つ
  • 農家は個性的でないと生き残れない(新しい技術は農家の収入を減らす)

    SHINICHIRO HONDA どうして、養液土耕には課題があると述べたのかを書く。 養液土耕は、栽培技術としては、きわめて科学的、合理的であり、指導機関も力を入れているようなので、今後も普及していくであろう。そして、普及したときにそのことがわかるようになる。 わかりやすく、車で考えてみる。プリウスは、登場したばかりのころは、唯一のハイブリッド車なので順調に販売が伸びる。そこで、メーカーは新しい車種を投入しない。プリウスが、ディーラーの買いそうな顧客にいきわたると、売れ行きが鈍化する。道路もプリウスだらけになるので、個性を重視する人はプリウスを買わない。そこで、メーカーは満を持してアクアを投入する。アクアは、ハイブリッドは欲しいが、プリウスが嫌な客にどんどん売れる。やがて、アクアだらけになる。アクアだらけになると、アクアが売れなくなるので、今度はカローラとか、ハリアーとか、なんとかGSと

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    agrisearch 2017/01/10
    2016/3/9 「強み」を見出して伸ばすことが重要。
  • 堆肥と土壌の作り方―身近な有機物を利用する – 農業と本のブログ

  • カナダの若い農家―畑は1haで5万円

    SHINICHIRO HONDA ノースダコタのネルソン農場を訪ねたあと、カナダのサスカチュワン州まで足を伸ばした(2003年)。このときのことは、雑誌などにも書いていない。もう10年以上前のことなので、当時と今の状況はだいぶ変わっているかもしれないが、カナダの若い農家との会話は、とても印象深いものだった。どこかに書いておかないと、完全に忘れてしまうので、とりあえずまとめてみる。 ネルソン農場から、車でハイウェイを北上して、カナダのウィニペグに向かった。500キロ走っても景色は相変わらずで、起伏がない真平らな畑が続く。ウィニペグのマーケットで料を買いこんで、近くのキャンプ場で一泊した。翌朝、サスカチュワン州ブルーノに向かう。ブルーノまでは北西にさらに1200キロ走らなければならない。 半日も走ると、人家が見えなくなり、行きかう車もほとんどない。ここらあたりのカナダの農村は、家や作業小屋が

    カナダの若い農家―畑は1haで5万円
  • 電子の本を作る理由「あらゆる有機物から肥料を作る方法」 – 進化,歴史 Evolution, History

    長い間、仕事に携わってきた。若いころからが好きで、哲学、経済学政治、思想、自然科学、生化学、分子生物学、進化論、生態学、植物学、農学、微生物学、歴史、神話、考古学など、さまざまなを読み漁ってきた。1万円を超えるような専門書は、図書館を利用していたが、ほとんどは自分でを購入してきた。これまでに買った大量のが、自分の部屋に入りきらないので、廊下、物置、押入れなどあちこちに積んである。 をたくさん読む人は、を集めたり、を読むこと自体を目的化する場合が多いので、のことが好きな人だ。そういう人にとって、というのは「紙の」のことであり、私も電子出版にはまったく関心がなかった。じっさいに、出版社からの依頼で栽培やべ物のを企画・編集・執筆して、多くの紙のを作ってきたが、ここにきて、紙のを作るのが難しくなってきた。もちろん、製作コストに見合った売上が見込めないからだ。 市販

    電子の本を作る理由「あらゆる有機物から肥料を作る方法」 – 進化,歴史 Evolution, History
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    agrisearch 2016/08/07
    「これからは、まともなことが書かれている専門書は、電子ブックで作るしかないな」
  • 「リンはいくらでもある、しかし循環しなければならない」その2

    SHINICHIRO HONDA リンのことについて、とくに注意を払うようになったのは、1999~2000年ごろのことだ。当時、海外の農業事情を知るために、文献やネットでいろいろ調べていた。そのとき、たまたま「リン鉱石の先物価格が急騰」という、数行の短い経済記事を見つけた。それを見たとき、ドキッとすると同時に「とうとう始まったか」と思った。 日ではリン酸肥料の原料となるリン鉱石が産出しないために、100%海外から輸入している。以前のブログで書いたように、リンは生物にとってはきわめて貴重な元素である。もちろん、日でも、農耕が始まったときから、リンが必要であったことは言うまでもない。江戸時代初期には、綿、藍、野菜などの換金作物の栽培がさかんになっており、干し鰯など、リン酸を多く含む肥料がすでに流通していた。リンは、リン酸カルシウムとして、動物の骨に多く貯蔵されている。佐藤信淵の『培養秘録』

    「リンはいくらでもある、しかし循環しなければならない」その2
  • 窒素(硝酸イオン)が多いとなぜ作物はおいしくないのだろうか?

    SHINICHIRO HONDA アメリカのスーパーで買う野菜は全然おいしくない。セロリは香りがなくて味が薄いし、逆にホウレンソウやレタスはエグい。あちこちのスーパーで買ってべてみたが、例外なくまずい。オーガニックのマーケットで買った野菜は、日の野菜と同じくらい美味で、香りとスパイシーさは日の野菜より強い(品種の違い?) 一般にアメリカの農地の土は、腐植率が高く、収穫量も多い肥沃な土だ。にもかかわらず、味がよくないのは、速効性の窒素肥料を使用するせいだと思う。いくら土壌中の腐植が多くても、腐植物質(腐植酸、フルボ酸など)には、アンモニウムイオンNH4+や硝酸イオンNO3−を保持する力はあまりない。土壌養液中に硝酸イオンが豊富なため、硝酸イオンのぜいたく吸収がおこり、野菜の細胞中の硝酸イオン濃度が高くなるだと思う。 ノースダコタの畑作農家に、肥料は何を入れているのかたずねると、窒素肥料

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    agrisearch 2016/07/05
    「植物にとっては、硝酸イオンやアンモニウムイオンは欠くことができない物質であるが、人間にとっては排出すべき物質である。」
  • 種あり(有核)の果実はなぜ糖度が高くなるのか?

    SHINICHIRO HONDA ブドウ栽培などでは、よく知られていることであるが、ジベレリン処理して単為結果させて種無し(無核)にすると、果実の粒は大きくなり、果実糖度は低くなる。シャインマスカットの場合は、有核の果粒重が9.9gに対して、無核の果粒重は12.0gになる(下の表)。また、有核の糖度が20.6%に対して、無核の糖度は19.4%に下がる。さらに、一般に、ブドウの房を大きくして粒数を多くすると、やはり果実糖度が下がる。 トマト栽培でも、トマトトーンで単為結果させるより、マルハナバチを放飼して交配・結実させたほうが糖度が高くなると経験的にいわれている。では、単為結果させて種無しにすると、どうして果実が肥大して、糖度が低くなるのであろうか? 前回のブログに書いた植物の構造と生育のモデルで考えてみると、夜に果実が生長するときに、窒素、リン酸、カルシウムなどの無機養分や糖分が、果実の組

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    agrisearch 2016/07/05
    「種無しの果実は容積が増大しているために、結果的に糖分の濃度が低くなる。」
  • 作物の1日の生育モデル:Growth model of a day of plants

    SHINICHIRO HONDA せっかくなので、作物の1日の生育についてもまとめようと思ったのだが、これがかなりの難物だ。教科書には書かれていないし、データもほとんどない。しょうがないので、「植物はもっとも合理的、効率的な生理反応をするはず」という前提に基づいて、理論的に考えてみる。温帯の植物でわかっていることは、おおよそ以下のとおり。 ①光合成は昼に行われる。 ②光呼吸が小さい場合は、光合成速度は光の強さに比例する。 ③組織合成は、おもに夜におこなわれるらしい(前回ブログ参照)。ただし、植物の根は、昼間に細胞分裂することは昔から観察されている。 ④硝酸イオン濃度(地上部)は、1日の周期で変動しており、夜に高く、昼に低くなる(下図、文献参照)。 ⑤太陽の日射量に比例して、たくさんの水分を葉から蒸散する(=根から吸水する)。(下図、文献参照)。 ⑥夜間の蒸散量は、条件によって異なるが、昼の

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  • 植物の生長の謎

    SHINICHIRO HONDA 植物の生長については、じつはわかっていないことだらけだ。たとえば、「植物は1日のうちでいつ生長するのか?」とか、「植物に、いつかん水すればいいのか?」など、もっとも基的な疑問についてさえ、科学的に明確に答えている文献を見たことがない。こうしたことは、ごく最近になって、少しづつそのメカニズムの一端が明らかになってきたに過ぎない。 たとえば、前回、合理的に推論すれば、植物が自分の生育量を把握しているのは、師管か道管のどこかにちがいないと書いた。最近、名古屋大学の打田直行氏らは、植物が背丈のサイズをコントロールする際の、引き金となる物質とスイッチの組み合わせを発見した(文献参照)。その活性物質(EPFL4とEPFL6)は茎の内皮組織で生み出され、一方の受容体(ERECTA)は茎の師部で働くという。すなわち、植物は背丈のコントロールについて、内皮から情報を発信し

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  • C3植物(アスパラガス、イネ、トマト、果樹)の光呼吸時養分量モデル

    SHINICHIRO HONDA 前回は、多年生植物の年間の理想的な生育量と養分量のモデルを考えた。では、暖地のイネやアスパラガスの栽培では、どのようなことがおこっているのであろうか? 北海道で露地アスパラガスが萌芽し始めるのは、5月上旬だが、九州のハウス半促成栽培では、2月下旬から萌芽が始まる。つまり、2ヶ月以上も早く生育が進む。 アスパラガスとイネの光飽和点は、4~5万ルクスであることは先述した。一方、真夏のころの西南暖地では、圃場の照度は10万ルクスを超える。さらに、盛夏期のハウス内の温度は、40℃以上になる。この条件のもとでは、C3植物は、光呼吸が光合成速度を上回り、同化産物が減少して生育が衰えるのは確実だ。じっさいのアスパラガスの試験データでも、8月の現物重、乾物重は減少する。これは、長崎のみならず、北海道の試験データでも減少している。また、イネの場合は、近年、高温障害による白未

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    agrisearch 2016/06/13
    「イネやアスパラガスが、高温高日照の夏季に生育量を小さくすることは、光呼吸によるコスト増大を少しでも小さくするという意味で、きわめて合理的な反応だ。」
  • アオムシはなぜ化成肥料で育てたキャベツを好むのか?

    SHINICHIRO HONDA 前回、キャベツとアオムシの話がでたので‥。アオムシは有機栽培で育てたキャベツよりも、化成肥料で育てたキャベツを好むという実験がある。アオムシは化成キャベツをたくさんべたのに、糞の量はほぼ同じだ。化成キャベツをべたアオムシの成長効率は高く、有機キャベツをべたアオムシの糞はきわめて多い。また、化成キャベツのほうが窒素の含有量が高いという。 ごくふつうに考えれば、アオムシは、セルロースなど物繊維が多くて硬い有機キャベツよりも、物繊維が少なくて軟らかい化成のキャベツを好むということだろう。化成肥料か有機質肥料かではなくて、物繊維が多いか少ないかであり、言葉を変えれば窒素が多いか少ないかだ。 キャベツは、体内に窒素が豊富に存在し日照も十分であれば、たんぱく質をたくさん合成できるので、葉っぱをできるだけ大きく生長させる。そのほうが、光合成産物の量が多くなり

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