フロリダのマナティー。海生哺乳類は海に流れ込む有機リン系農薬の影響を受けやすいことがわかった。(PHOTOGRAPH BY PAUL NICKLEN, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE) 今から数千万年前、古代の陸生哺乳類の中に海に戻るものがいた。彼らの体は泳ぎに適した流線形になり、はっきり分かれていた指の間がつながり、ひれ足やひれとなった。そして、進化のプロセスのどこかで、海生哺乳類たちは「パラオキソナーゼ1(PON1)」という遺伝子の機能を失った。(参考記事:「“腕”を持つアザラシの祖先を発見」) おそらくその遺伝子は、水中生活に適応した生物には必要なくなったのだろう。彼らの体形が水中生活に適したものになったように、ゲノムも合理化されたのかもしれない。いずれにせよ、PON1は、今日のクジラとイルカ、マナティーとジュゴン、アザラシとアシカの祖先にあたる3つの系統の