オートファジーは真核生物におけるストレス応答における生体物質の分解およびアミノ酸や脂質などのリサイクリングに重要な役割を担っています。オートファゴソームの形成と成熟には、多数の因子が関わっていることが知られており、成熟の最終段階にESCRT(エスコート)複合体が関与していることが示唆されてきました。ESCRT構成因子は、細胞膜と相互作用する繊維状の重合体を形成し、オートファゴソーム膜を閉じる役割を果たしていることが知られています。しかしながら、ESCRTがオートファゴソームに誘導される分子機構には未知の部分が多いのが現状です。基礎生物学研究所 分子細胞学研究部門の磯野江利香客員教授(コンスタンツ大学 教授)らの研究グループは、モデル植物であるシロイヌナズナを用いて、塩ストレス下におけるオートファゴソーム成熟過程の制御因子としてCaLB1を同定しました。塩ストレスによってCaLB1遺伝子の発