小田嶋:封建制や旧来の家制度みたいなものにはたくさんの問題がありました。そして、それらを壊して人々が実現しようとしてきた、上下や差別のないフラットな社会というのは、基本的にはすばらしい理想だと思うんです。 ただ、家制度みたいなものがなくなって、すべての人がフラットにつきあうような社会が実際に立ち現れてくると、「大人がいない」という問題が表面化し始めた。そのことにたじろいでいるのが、今という時代なのかもしれません。 100%正しいからこそ、厄介な問題 小田嶋:「人権」のように、否定しようのない正論って、突き詰めて行くと非常に厄介な問題をはらみ始めますよね。たとえば「ハラスメント」っていう概念は、今やセクハラとか、パワハラとかという形で、かなり社会に定着しています。これは、それまでの刑法で裁かれてきた罪や犯罪とはちょっと異質なものだと私は思うんです。 それまでの刑法で裁かれるような犯罪っていう