スタージョンの法則というものがある。 SF作家のシオドア・スタージョンが「SFなんて9割クズだ」と貶されたとき「どんなものでも9割はクズだ」と返したという逸話に由来する。低俗で凡庸な作品の山に、傑作が埋もれている。 重要なのはその1割にどうやって巡り合うかなのだが、ホラー小説についてその1割を集大成したものが、『ホラー小説大全 完全版』(風間賢二、青土社)になる。 18世紀のゴシック小説から19世紀のゴースト・ストーリー、20世紀のモダンホラー、そして21世紀のポスト・ミレニアルホラーまで、欧米を中心としたホラー小説を渉猟し、「読者を怖がらせる」ことに優れた作品をもりもり紹介する(1割といえど大量にある)。 さらに、近代が生み出した三大モンスター(吸血鬼、フランケンシュタイン、狼男)と現代が生み出したゾンビにまつわる膨大な映画や小説を紹介しながら、「なぜ”それ”が怖いのか」を、時代の集合的
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