東京電力福島第1原発から放出された放射性物質による農産物の汚染が懸念される中、政府は21日、福島県など4県という広範な地域を対象とした異例の出荷停止に踏み切った。対象の品目と地域を明確にすることで、対象外の農産品に対する風評被害の拡大を抑える狙いがあり、急きょ規制値を暫定的に設けるなどの「政治決断」で対応を急いだ。しかし、今後出荷停止の対象が広がる事態も予想され、流通量の確保や被害農家への補償が難題として待ち構える。 食品添加物などの規制値は食品衛生法に基づいて定められるが、原発事故を想定した放射性物質の規制値はなかった。今回適用された暫定規制値は、原子力安全委員会が「指標」を示し、厚生労働省食品安全部長名で17日、全国の都道府県知事に通知された。大塚耕平副厚労相は「大気中で放射能が検出されている中で暫定的な規制を導入せざるを得ない。店頭に流通しているものは安全だということを示すことが風評