自閉症スペクトラムと呼ばれているような障害は、実は障害でない。生物としての人類のバリエーション(変異)のひとつである。 自閉症スペクトラムは、本来は人類の、生息環境に対する適応の一つのあり方だというのが、本稿で紹介するニューロダイバーシテイ(脳多様性)という考え方にほかならない。 なぜ自閉症はこれほど多いのか 自閉症スペクトラムというものの実態は、(1)対人関係とりわけコミュニケーションが不得手で、(2)興味・関心の幅が著しく限られていたり、こだわりが激しいという二点を特徴とする。つまり、いわゆるオタク的傾向が顕著な発達「障害」として、一般にもよく知られるようになってきた。 この「障害」はおおよそ、遺伝的要因によって生ずると考えるのが定説となっている。発症率はどんなに少なく見積もっても1~2%。25人に1人と主張する研究者もいる。この値は、ほかのたいていの遺伝的障害に比べて極端に大きい(通