宇宙航空研究開発機構(JAXA)のX線天文衛星「ひとみ」喪失事故に関する解説の2回目となる今回は、「ひとみ」の開発から運用にかけての、組織的な問題を見ていくことにする。 設計者はリスクを知っていた 前回の解説で、「ひとみ」は天文衛星としての観測能力を高めるため、いろいろな点で性能を優先した余裕のない設計をしていたことを指摘した。しかし当然のことだが、そのような設計をした当人は、それがリスクになることを誰よりも知っている。 「ひとみ」が最初に姿勢を乱したのは、衛星の姿勢を測定するセンサー「スタートラッカ(STT)」が不意にリセットしてしまったことだった。しかも、そのときに過剰な姿勢修正をしてしまい、STT復帰後に誤差が大きくなったことを検出したソフトウェアは、STTが故障したと判定。予備のSTTに切り替えると姿勢が変動して観測に差し支えることから、切り替えは行わないようになっていた。 このよ
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