戸籍上は男性でも女性だと自認しているトランスジェンダー学生に関して、全国の4年制女子大のうち少なくとも5校が入学資格を認めていることが3日、産経新聞が行ったアンケートなどで分かった。今後入学を認める方針を固めた女子大が3校に上ることも判明。トランスジェンダーを含む性的少数者に対する社会の変化の一端を示す一方で、在学生や保護者の理解に加え、「なりすまし」の見極めの難しさを懸念する声も出ている。 共学化や募集停止を表明したケースを除く全国計69の女子大に7月末、アンケートへの協力を依頼。40校から回答があり、6校からは回答を見送りたいとする意思表示があった。残りの23校は回答がなかった。 回答があった40校のうち、すでにトランスジェンダー学生の入学資格を認めているとしたのは、国立のお茶の水女子大(東京都文京区)と奈良女子大(奈良市)、私立では宮城学院女子大(仙台市)、千里金蘭大(大阪府吹田市)
米ニューヨーク州弁護士のスティーブン・ギブンズ氏これは最高裁判所が判断すべきことなのか。民意によって選ばれた国会が決めるべきことであり、司法による立法権の侵害なのではないか。こう危惧せざるを得ない。 性同一性障害の人が戸籍上の性別を変更するには、生殖不能にする手術などを条件とする「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」(特例法)の条項を違憲と判断した先日の最高裁決定は、司法はあくまで国会が制定した法律を尊重すべきだという憲法原則から大きく逸脱していたというべきだろう。裁判所には、国会の法律が憲法に適合しているか審査する「違憲審査権」はあるが、憲法13条には「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」とあるのみである。 性別適合手術を経て女性に性別変更した当事者(
千葉県は、今月2日まで実施していた「(仮称)千葉県多様性が尊重され誰もが活躍できる社会の形成の推進に関する条例」の骨子案に関するパブリックコメント(パブコメ、意見公募)で、県内外の650人超から意見が寄せられたことを明らかにした。 県政策企画課によると、骨子案の趣旨に賛同する意見としては、「在住外国人が増えている中で今まさに必要とされている」「誰もが活躍できる社会に向けて必要」「男女が平等に参画できるよう予算を確保し力を尽くしてほしい」などの声があった。 一方で、懸念を示す意見としては、「女性を自称する男性が女子トイレや更衣室を利用する可能性が高まり不安」「日本はもともと多様性に富んだ国柄なのでわざわざ条例をつくる必要はない」「外国籍の人によるさまざまな問題が起きており、その課題解決が先ではないか」などがあった。 同課の担当者は「関心を持って多数の意見を出していただいた。今後はパブコメや議
さまざまな社会のひずみを顕在化させた新型コロナウイルス禍の中で、意に反して孤独に陥る人が増え、女性や子供の自殺者が増加するなど深刻な事態を招いている。「孤独・孤立」は自殺や引きこもり、貧困などさまざまなリスクをはらむことから、政府は令和3年、内閣官房に専用の対策室を設置した。女性や子供だけでなく、中高年男性の孤立も際立っており、男性へのアプローチが重要度を増している。 「男の勲章」でなく「孤独は『心の飢餓』。それなのに日本では孤独を礼賛する風潮が強く、望まない孤独に陥った人が、支援を求める声を上げにくい」。こう指摘するのは、『世界一孤独な日本のオジサン』(角川新書)の著者で、日本や海外のコミュニケーション事情に詳しい岡本純子さんだ。 岡本さんは孤独が人間の精神や肉体に与える影響を調べてきた。著書の中では「社会的なつながりを持つ人は、持たない人に比べて、早期死亡リスクが50%低下する」という
生涯にわたって心身に深い傷痕を残すことから「魂の殺人」とも呼ばれる性暴力。性別を問わずだれでも被害者となり得るが、男性の場合は周囲に真剣に取り合ってもらえず、より表面化しにくいといわれる。高校生のときに襲われたという東京都の50代男性は約20年間、その傷を内心にしまいこみ、あれは性被害でないと自分すら偽った。苦悩の日々を振り返り、理解と支援が広がることを願っている。(宇山友明) 今から40年以上前、16歳のときの寒い夜のことだった。都内のロック喫茶で、スーツ姿の男に声をかけられた。 当時は親とけんかをして家出中。空腹だった。男は「35歳の公務員」と名乗った。「行く場所がないのなら、うちに来てレコードを聴いていきなよ」 誘いに乗って家に行くと男に酒を勧められた。同時に「有名なミュージシャンもやっているよ」と大麻のようなものを差し出され、吸ってみたらと促された。 次第に意識がもうろうとし、用意
今年の春にオープンした高層複合施設「東急歌舞伎町タワー」に設置された、性別に関係なく利用できる「ジェンダーレストイレ」が、安全性をめぐる懸念が高まる中で廃止された。 ジェンダーレストイレ、男性用トイレ、女性用トイレ、多目的トイレの密閉された個室が同じ空間の中に並ぶ構造で、洗面台は共有だった。この他に別空間に男性用の小用トイレがあり、警備員がいるなど監視体制にかなりの労力も割いていた。 多様性に配慮する目的で作られたのだが、施設を利用している女性客の不安の声とSNSを中心とした批判が殺到して、早くも改修を迫られた。駅構内に標準的に設置されている男女別トイレと多機能トイレのパターンに比べると、女性専用スペースが事実上消滅した形になっていた。 さまざまな観点からの議論があるだろうが、やはり利用者の安心感を無視した結果といえるのではないか。男女の別なく利用できるトイレが必要であれば、少なくとも女性
先の通常国会で成立した、LGBTなど性的少数者に対する理解増進法を巡り、関係府省の連絡会議が同法に基づく基本計画と運用指針の策定に向けた議論を始めた。 女性の安全を損ないかねない懸念がある法律だ。基本計画などによって問題を解消し、適切な運用を図るべきは当然である。 ところが政府の動きはあまりにも鈍い。本来なら施行前から論じるべきなのに、6月23日の施行から約1カ月半を経た今回の連絡会議の初会合で、ようやく出発点に立ったところだ。 しかも、新たに有識者会議を設置するかどうかなど議論の進め方すら定まっていない。策定時期を明示できる状況でもないというからあきれる。 懸念を放置したままでは、女性を守ることが難しい。政府は策定作業を迅速に進め、女性の安全を確実に担保すべきだ。 最大の問題は、女性だと自認する男性が女性専用スペースに入ることを正当化しかねないことだ。法案の修正過程では「性同一性」との文
埼玉県は31日、LGBTなど性的少数者への理解増進を図る基本計画を策定したと発表した。性の多様性を尊重した社会づくりを目標に掲げ、令和7年度までの3年間施策を推進する。県は同日、計画の策定に先立ち実施したパブリックコメント(意見公募)の結果も発表。計417件の意見が寄せられたと明らかにした。 計画では、「性の多様性に関する理解の増進」や「相談しやすい体制の充実」、「暮らしやすい環境づくり」を基本方針として掲げている。県は今後、県民や事業者への意識啓発に取り組む方針で、性的少数者が直面する不利益の解消に向けた働きかけを進めるなどとしている。 意見公募は今年2月に実施し、郵送とFAXのほか、インターネットのメールで募集。LGBTなど性的少数者への理解増進を図る条例の昨年7月の施行を受け、今後の具体的対応策の策定に向け実施していた。関係者によると、寄せられた意見のうち反対は338件(81・1%)
2024年米大統領選に向けた共和党の候補者指名争いで、民主党が掲げるリベラルな価値観を厳しく批判する候補が支持を集めている。こうした候補が演説で多用するキーワードが、人種問題や、LGBTなど性的少数者の権利拡大に熱心なリベラル派を揶揄(やゆ)する「WOKE(ウォーク)」という言葉だ。「WOKE」への敵意を煽って保守層を取り込む狙いだが、無党派層を遠ざけかねなジレンマもある。 「WOKE」は元来、黒人独特の英語用法から生まれた言葉で、歴史的に差別を受けてきた黒人の権利意識への「目覚め」といった意味合いがある。 だが、近年は保守派の間で、人種問題のみならず、女性やLGBTなどマイノリティーの保護、気候変動、移民問題といった課題で「左派的な政治姿勢」を批判する用語として定着した。特定の人種や性的志向への差別や偏見を助長しない中立的な表現を推奨する「ポリティカル・コレクトネス(政治的正しさ)」に対
生まれたばかりの命は、母親に抱かれることもなく捨てられた-。乳児をコインロッカーに遺棄したとして、死体遺棄罪に問われた元風俗店従業員の女(33)。大阪地裁の法廷で、妊娠を10回以上繰り返し、給料をホストクラブで消費する退廃的な生活を送っていたことを明かした。ただ、女を追い込んだ一端として語られたのは虐待のトラウマ。「人から愛情を受けた記憶がない」。孤独が救いを求める気力すら奪っていた。 路上で失われた命1月30日未明。女は大阪市淀川区の裏道に止められた車の陰で一人、陣痛に耐えていた。 前日深夜に異変を感じ、量販店でトートバッグを購入。父親が誰か分からず、育てる意欲は毛頭なかった。バッグへ産み落とすと、そのまま駅のコインロッカーに閉じ込めた。遺体が発見されたのは約2カ月後。間もなく、死体遺棄容疑で大阪府警に逮捕された。 法廷で出産直後のわが子の様子を問われたが、「それどころじゃなかったので、
LGBTなど性的少数者への理解増進法の成立を受け、超党派の「LGBTに関する課題を考える議員連盟」は25日、国会内で総会を開いた。会合では、LGBT当事者への理解を広め、国の基本計画や指針作りにも議連としての考えを反映させたいといった意見が相次いだ。 議連会長を務める自民党の岩屋毅元防衛相は総会で、「やっと性的マイノリティーの問題に向き合う本邦初の基本法が成立した。われわれの責務は、この最初の一歩をさらに前に進めることだ」とあいさつした。自民からは稲田朋美元防衛相、細野豪志元環境相、牧島かれん前デジタル相ら7人が参加した。 総会では、性同一性障害の経済産業省職員に対するトイレの使用制限を巡る訴訟で、最高裁が使用制限を違法とした判決を出したことを受け、「公共トイレのあり方も議論すべきだ」といった意見も出た。 LGBT法は、国に理解増進に向けた基本計画や指針の策定を求めているが、総会に出席した
アウティングによる精神疾患発症で労災認定され、記者会見に臨む男性。右は支援するNPO法人「POSSE」の担当者=24日午後、厚労省 東京都豊島区の保険代理店に勤務していた20代男性が、上司による性的指向の暴露(アウティング)が原因で精神疾患を発症したとして、池袋労働基準監督署から昨年3月に労災認定されていたことが24日、分かった。男性を支援するNPO法人「POSSE」が都内で記者会見し、明らかにした。「アウティングが労災認定されたのは初めてではないか」としている。 法人によると、男性は2019年に入社し、面接の際、自身が同性愛者だと明かして「同僚には自分のタイミングで知らせたい」と伝えた。だが直後、40代の上司が無断で女性従業員に暴露。男性は女性従業員から無視されるようになり、精神疾患で退職した。
【パリ=三井美奈】スペインで23日、上下両院の総選挙が行われる。中道右派の野党「国民党」が支持率で首位に立ち、サンチェス首相の中道左派与党「社会労働党」が追う展開。選挙戦では、LGBT(性的少数者)政策が大きな争点になっている。 国民党のフェイホー党首は6月、サンチェス政権の看板である通称「トランスジェンダー法」の改正を公約とし、「この法は性別の変更を運転免許の取得より簡単にした」と批判した。 同法は2月、左派連立与党が国会で成立させた。16歳以上なら自己申告で性別変更できると定める。従来はホルモン治療証明の提出などが必要だった。LGBTの人たちの差別禁止を明記。親が子供の性的指向を変えさせるため「セラピー(転向療法)」を受けさせることも禁じた。違反者には最高15万ユーロ(約2300万円)の罰金を科す。欧州でも「性の自己決定権」を強く打ち出した法となった。 この法に注目が集まるのは、右派が
自民党有志議員でつくる「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」(略称・女性を守る議連)は20日までに所属人数が100人となったことを明らかにした。議連はLGBTなど性的少数者への理解増進法の成立に伴い6月下旬に設立された。トイレや更衣室など「女性専用スペース」の利用や女性競技スポーツへの参加は生来の女性に限るための措置に取り組む。 メンバーは以下の通り ◇ 共同代表橋本聖子、山谷えり子、片山さつき 顧問塩谷立、下村博文、西村康稔、世耕弘成、山東昭子 副代表桜田義孝、渡辺博道、柴山昌彦、堀内詔子、山下貴司、衛藤晟一、有村治子、松山政司、野上浩太郎、猪口邦子 幹事長及び代行今後選任予定 幹事長代理木原誠二、木原稔、赤間二郎、城内実、関芳弘、高鳥修一、牧原秀樹、山本朋広、高階恵美子、中西健治、西田昌司、牧野京夫、赤池誠章、上野通子、三原じゅん子、中田宏 副幹事長井上貴博、
会合で発言するジャーナリストの桜井よしこ氏。奥左は共同代表の片山さつき元地方創生担当相=19日、東京・永田町の党本部女性として暮らす性同一性障害の経済産業省職員に対する省内の女性用トイレの使用制限を違法とした11日の最高裁判決を受け、自民党の「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」(通称・女性を守る議連)は19日、声明を発表した。「特定人の特定トイレについての判決だ」として、「不特定多数の女子トイレにおいて、誤解によって不適切な取り扱いがされないように、女性の安心安全を守るべきだ」と強調した。 議連が19日に党本部で開いた会合では出席者から、判決内容を自治体や企業が拡大解釈し、トランスジェンダー女性(生まれつきの性別は男性、性自認は女性)に女性トイレの利用を認めかねないといった意見が相次いだ。背景には、男性が自らをトランス女性だと主張すれば、女性トイレを利用できると
文部科学省はLGBTなど性的少数者への理解増進法の施行を受け、LGBT団体が学校で講演の実施を申し入れた際に教育の中立性を確保するよう求める文書を、19日の自民党会合で示した。 文科省は、同日に党本部で開かれた「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」の会合で、LGBTなど性的少数者への理解増進をめぐり、これまで自治体などに出した通知や関連資料を改めて示した。 資料では、性同一性障害の児童生徒への対応に関し、LGBT団体が学校で講演の実施を申し入れた際は、教職員に「児童生徒の発達の段階を踏まえた影響などについての慎重な配慮を含め、教育の中立性の確保に十分な注意」を要請した。 自身の性に違和感を訴える子供への支援については、医療機関との連携の重要性を指摘し、「当事者である児童生徒や保護者の意向を踏まえることが原則だ」とした。 関係者によると、文科省が最初に通知を出した当
自民党の「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平等を守る議連」であいさつする櫻井よしこ氏=19日午前、東京・永田町の党本部(矢島康弘撮影) 自民党の有志議員でつくる「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」は19日、党本部で第2回会合を開いた。性同一性障害の経済産業省職員に対する省内の女性用トイレの使用制限を違法とした最高裁判決について議論。LGBTなど性的少数者への理解増進法施行を受けた政府の取り組み状況の報告も受けた。 共同代表に就いた橋本聖子参院議員は冒頭で「国民の皆さんの不安に寄り添うためにしっかりとした基本をつくっていかなければならない」と強調。ゲスト参加したジャーナリストの櫻井よしこ氏は最高裁判決に関し「一般論に拡大させていくことは、社会に混乱を起こす」と指摘した。
最高裁が一定の留保はつけながらも、奇妙な判決を下した。トランス女性(=生物学的には男だが、心は女性)が職場の経産省において、女性用トイレの使用に制限をつけられていたことを違法だとの判決を下したのである。 国(経産省)側の論理が弱かったのも事実だ。他の女性職員が違和感を抱いているように「見えた」から制限を課したとの主張では、客観的な事実に立脚した論理ではなく、極めて主観的な判断と見做されるはずだ。 一定の留保というのは、裁判官の補足意見の最後に次のように記されていたからである。 「本判決は、トイレを含め、不特定又は多数の人々の使用が想定されている公共施設の在り方について触れるものではない」 世の中のすべてのトイレを、トランス女性に開放せよとの判決ではなかったということだ。 確かに、極めて特殊な状況である。 第1に、国を訴えた職員はトランス女性であることを職場で公開し、説明会が開催され、女性の
心と体の性が一致しないトランスジェンダーをめぐり、最高裁が職場の女性用トイレの使用に制限を設けたことを「違法」とする判断を示したことについて、永岡桂子文部科学相は14日、閣議後記者会見で「判決はあくまで個別の事案について判断がなされたものと承知している」との見解を述べた。その上で「各学校で性的マイノリティー(性的少数者)とされる児童生徒に適切な配慮がなされるよう引き続き取り組んでいきたい」とも語った。 子供たちの学校でのトイレ利用をめぐり、文科省はこれまでに性的少数者の児童生徒に対する配慮として、職員トイレや多目的トイレの利用を認めるように学校側に求めている。 永岡氏は性的少数者ではない子供への影響にも触れ、「(性的少数者ではない)ほかの児童生徒への配慮との均衡を取りながら(性的少数者の児童生徒に対する)支援を進めるということは周知している」と話した。
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