これは最も愛すべき大英帝国のロックンロール・バンド、ザ・キンクスの小屋掛芝居風ロック・オペラ、「プリザヴェイション」第一幕にある「忘れられた人々」という歌の一節です。けれどこのなかで、とりわけ万年少女のみなさまにはいまなお忘れられていないのがマリー・クワント女史の名前なのではないでしょうか? ぼくはちょっと前に古本屋さんでこの人気ブランド創設のことが綴られた「マリー・クワント自伝」という本を見つけて読んだことがありました。あの「ミニ・ルック」を発表してファッション界にセンセーションを巻きおこし、一躍60年代スインギング・ロンドンの寵児となったばかりか世界中にも影響をおよぼし、ビートルズと同じく外貨獲得の功で女王陛下に勲章までいただいてしまったという女の子のお定まりの成功物語なのですが、そこには思いのほかいまのぼくらにとっても考えさせられてしまうポイントがあったのです。 ひとりの少女が没個性