巻頭言で東さんは“がんばろう東北”“ひとつになろう日本”といったスローガンとは裏腹に、震災で我々はばらばらになってしまった、との現状認識を示します。 その主旨は、 あの3月11日の地震発生時に、空間的に何処にいたのか、海岸か、低地か、高台か、福島か、宮城か、東京か?その選択にいかなる意味もない。にもかかわらず実際の経験は、“死”から“テレビで津波を見ている”迄、全くばらばらなものだった。加えて原発事故による放射線被害。特に明確な基準のない低線量被爆問題が、居住地域、家族構成、所得の差異による危機感の落差と相まって人々の心をばらばらに引き裂いてゆく。『考えれば考えるほど、ぼくたちは統計と数字の迷宮に囚われ、確率的な存在に変えられ、そして連帯を失ってゆく』(本文より)というものです。 一方、こうした状況から「新しい連帯」へ向かう第一歩として、大阪でのシンポジウムや巻末の和合亮一との対談では『喪