コロナ禍で通勤客が減少し、鉄道会社が岐路に立たされている。JR東日本をはじめ、来春以降終電繰り上げなどで赤字を減らす方途を模索する会社も少なくないが、それだけでは全体として縮小に向かうだけ。では、どうすればいいのか。鉄道そのものではなく、鉄道の通る街を変えることで未来のビジネスを模索しているのが東急である。 「住む人に選ばれる街」が重要になる 2020年8月、9月に大田区・池上の住宅街に3つの場が立て続けにオープンした。会話や交流が生まれることを目指す多目的スタジオ、アウトプット型探究学習塾が運営するシェアスペース、設計事務所と動画配信スタジオオフィスに併設されたギャラリー・イベントスペースに作られた一箱書店「ブックスタジオ」である。池上といえば、力道山が眠る池上本門寺がある閑静な住宅街だが、そんな街で地域を中心に東急も一員となったプロジェクトが進んでおり、上記の3カ所もその一環である。