イ・キジュのエッセー『ことばの温度』は、昨夏の刊行当初はあまり注目を集めなかったが、秋以降じわじわと順位を上げ、2月末から1位の座を守り続けている。 ソウル経済新聞の記者を経て、作家デビューした。版元は、著者自身が立ち上げた「1人出版社(社員4人以下の小規模出版社のこと)」だ。 イは「季節の変わり目には、母の鏡台にそっと、日傘や保湿クリームを置く」という、心優しい息子でもある。 活字中毒を自認する。バスや電車、コーヒーショップで、人々のおしゃべりにじっと耳を傾ける。ことばをすくいとり、日常を軽妙に切り取り、自分のことばで消化してゆく。 こんな作家がそばにいたら、だれもがうかつな物言いはできないだろう。「ことばや文章には、それぞれ温度がある」と、著者は言う。 昨秋以降、韓国ではトゲや毒のあることばが蔓延した。嘘ばかり並べ立てる政治家。テレビの画面に向かって、怒声をあげる人々。国民を怒らせた人
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