国連は昨秋、世界の「飢餓人口」が約10年ぶりに増加に転じ、その最大の原因は紛争であるとする報告書を発表した。国連はどう立ち向かい、米国や日本ができることは何か。来日した国連世界食糧計画(WFP)のデービッド・ビーズリー事務局長に、懸念される北朝鮮の食糧不足やミャンマーの少数派ロヒンギャ難民の状況なども合わせて聞いた。 ――栄養不足の状態にある「飢餓人口」は今、世界全体でどのような状況にありますか。 飢餓人口はここ10年以上減り続けていたのですが2016年に増加に転じ、その前年の7億7700万人から8億1500万人になりました。これは世界総人口の11%にあたります。そのうち1億900万人は明日食べることもままならない深刻な状況で、命を落としかねない危機にあります。 その主な理由は明確で、紛争と戦争です。現在、シリアや南スーダン、イエメン、ソマリアなど19カ国がその危機に直面しており、飢餓人口
