アジア最大級の映画のお祭り、第23回釜山国際映画祭が10月4~13日、釜山市で開かれた。今年の上映作の中で目立ったのは、「脱北者」と「朝鮮族」の登場する映画だった。脱北者は、北朝鮮から逃れてきた人たち。韓国には3万人を超す脱北者が暮らしている。一方、朝鮮族は中国の少数民族で、主に中国吉林省延辺朝鮮族自治州(延辺)に住んでいるが、韓国に出稼ぎに来てそのまま暮らす人も多い。いずれも韓国内のマイノリティーだ。 まずは、4日の開幕式で上映された開幕作「ビューティフルデイズ」(ユン・ジェホ監督)。主人公は、北朝鮮から中国を経て韓国に逃げた脱北女性だ。映画は韓国の女性の勤務先に、中国から息子が訪ねてくるところから始まる。母は父と自分を捨てた裏切り者と思っていた息子は、母の日記を通し、なぜ韓国に逃げざるを得なかったのか、性的搾取など脱北者ゆえに受けた過酷な過去を知る。 ユン監督はパリにいた頃、ある朝鮮族
「悲しみに、こんにちは」より©2015,SUMMER 1993 「悲しみに、こんにちは」より©2015,SUMMER 1993 Review1 樋口尚文 評価:★★★(3=満点は★4つ) 「不安定な季節」鮮やかに スペインはあまたのすぐれた映画監督を輩出してきたが、そのなかのひとりビクトル・エリセは幼い子どもを主人公にして珠玉の作を生んだ。本作を手がけた1986年生まれのカルラ・シモン監督は、エリセのDNAの正統なる継承者といったおもむきだ。 年齢設定に照らせばシモン監督自身の幼き日の記憶をモチーフにしているはずの本作だが、スペインがエイズ禍で騒然となった1993年という時代背景が効いている。当時謎の疫病のように畏怖されたエイズで両親を失い、自分自身に流れる「血」さえ危ういものと疑われる主人公の少女フリダ。この少女のただでさえ幼く多感で不安定な季節が、エイズをめぐる大人たちの動静をフィルタ
『バース・オブ・ネイション』より © 2016 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION 「ナット・ターナー」と聞いても、米国人でも知っている人はそう多くはないようだ。南北戦争勃発に30年先立つ1831年の米バージニア州で、心身ともにこれでもかと虐げられ続けた黒人奴隷たちが白人の「主人」たちに文字通り刃向かい、結局は弾圧・処刑された事件を率いた人物だが、米国でもこれまで広く教えられることも、本格的に映画化されることもなかったという。 舞台となったバージニア州出身で、今作の製作・監督・脚本・主演の4役に挑んだネイト・パーカー(37)も「大学でアフリカ系米国人研究のクラスをとるまで、彼のことを何も知らなかった」とオフィシャルインタビューに答えている。足元の米国社会では、白人警官による黒人への相次ぐ不当な殺害や乱暴行為がますます問題になっている。当時の黒人奴隷
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