毎月送っていただく『文藝春秋』の1月号に「ユニクロ型デフレで日本は沈む」という、浜矩子氏と荻原博子氏の対談が出ている。内容は以前の浜氏の記事と同じで、それに荻原氏が相槌を打っているだけだが、こんなお粗末な対談が日本の代表的な総合雑誌に堂々と出るのは困ったものだ。 そもそもタイトルの「ユニクロ型デフレ」というのが名辞矛盾であることに彼女たちは(編集者も)気づいていない。デフレーションというのは一般物価水準の下落であり、ユニクロの価格が下がるのは特定の財の相対価格の変化である。前者は通貨供給量によって起こる貨幣的な現象だが、後者は実体経済の変化で、両者はまったく原因が違う。 2000年代初頭から日本で起きている物価の下落は、この二つの原因が複合したものと考えられる。両者を分離することは困難だが、直近でいえば、野口悠紀雄氏も指摘するように、原油価格が1年で半減した影響が大きい。またドル安と、それ